結論:教員の授業準備が終わらないときは、「授業のゴール」「子どものつまずき」「安全上の確認」の3つを先に決め、教材や板書を作り込みすぎないことが有効です。授業準備は、時間をかければかけるほどよくなるとは限りません。まずは、明日の授業に必要な最低限を完成させ、その後に改善する順番へ切り替えましょう。
この記事の要点3つ
- 最初に決めるのは授業のゴール。教材探しやスライド作成から始めない。
- 準備は「必須・できれば・今回は不要」に分ける。すべてを同じ熱量で準備しない。
- 一人で抱え込まず、共有・再利用・相談を使う。学校のルールや情報管理には従う。
授業準備が終わらない状態とは
授業準備が終わらない状態とは、授業前日になっても、授業のねらいや進め方が決まらず、教材作成や細かな表現の修正を続けている状態です。
単に準備時間が長いだけでなく、次のような状態があれば、準備の優先順位を見直すサインです。
- 教材を探し続けて、授業の中心活動が決まらない
- 板書やスライドの見た目を何度も修正してしまう
- 前の時間の評価や子どもの反応を確認しないまま準備している
- 授業準備のために毎日遅くまで残る、または持ち帰る
- 準備が終わらない不安で、休んでも仕事のことを考えてしまう
文部科学省も、教師が授業を磨き、子どもに効果的な教育活動を行える環境づくりの一環として、学校の働き方改革を進めています。個人の努力だけで解決しない場合は、業務量や分担の見直しを相談して構いません。([mext.go.jp](https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/hatarakikata/?utm_source=openai))
授業準備の優先順位は3段階で決める
| 区分 | 内容 | 判断の目安 |
|---|---|---|
| 必須 | 授業のゴール、主な発問、教材、時間配分、安全確認 | これがないと授業が成立しないか |
| できれば | 補助資料、発展問題、複数の提示方法、細かな板書整理 | 時間が残れば追加するか |
| 今回は不要 | 凝ったスライド、過度な装飾、使うか不明な動画や資料 | なくても学習目標を達成できるか |
授業改善では、1時間単位の工夫だけでなく、単元や題材全体を見通して、学習の見通しや振り返り、対話の場面を組み立てることが重要とされています。毎時間を完全な作品にするより、単元全体で学びがつながるかを確認しましょう。([mext.go.jp](https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/senseiouen/mext_01498.html?utm_source=openai))
今日できる授業準備の時短行動
- 授業のゴールを1文で書く
例:「分数の大きさを、図と数直線を使って説明できる」 - 子どもが迷いそうな点を1つ予想する
例:「分母が大きいほど大きな数だと誤解する」 - 中心活動を1つに絞る
説明、個人作業、ペア交流など、授業の核を決める。 - 教材はまず教科書・既存資料から選ぶ
新しい教材を探す前に、学校で共有されている資料や過去の授業案を確認する。 - 終了時刻を決める
「20時まで」など、準備を続ける上限を先に設定する。勤務管理や学校のルールがある場合はそれに従う。
校務の効率化や支援員、ICTの活用など、学校全体で授業準備や成績処理の負担を軽くする取り組みも紹介されています。個人で工夫しても改善しないときは、学校の改善案として共有しましょう。([mext.go.jp](https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/hatarakikata/mext_00008.html?utm_source=openai))
授業準備チェックリスト
- □ 本時の目標を1文で説明できる
- □ 授業の中心活動が決まっている
- □ 子どもがつまずきそうな点を1つ把握している
- □ 使用する教材・教具を確認した
- □ 授業の開始・活動・まとめの時間配分を決めた
- □ 評価する場面や確認方法を決めた
- □ 安全面、個人情報、機器の動作を確認した
- □ なくても授業が成立する準備を後回しにした
- □ 終了時刻を決めた
具体例:社会科の授業を短時間で準備する場合
たとえば、中学校社会科で「地域の産業」を扱う場合、最初から大量の統計資料や動画を集める必要はありません。
- ゴール:地域の産業の特徴を、資料を根拠に説明する。
- 中心資料:教科書掲載の地図とグラフを使う。
- 発問:「この地域でこの産業が発達した理由は何か」
- 交流:個人で根拠を1つ書き、隣同士で比較する。
- まとめ:地理的条件と産業の関係を1文で書く。
追加資料は、授業のゴールを明確にするうえで必要な場合だけ加えます。資料を増やすこと自体が目的になっていないかを確認しましょう。
同僚や管理職に相談するときの伝え方
「授業準備が大変です」だけではなく、時間と業務を具体化すると相談しやすくなります。
相談例:
「今週は教材作成と評価準備に毎日約2時間かかっています。明日の授業では教科書資料を使う形に絞りますが、単元全体の教材共有や過去資料の保管場所を確認したいです。学年で共通化できる部分を相談できますか」
相談の際は、勤務時間、準備にかかる作業、削れない理由、共通化できそうな部分をメモしておくと、感情論ではなく改善案として話しやすくなります。勤務時間や業務量に関する制度の適用は、設置者や自治体によって異なるため、校長、教育委員会、所属先の担当部署などに確認してください。
FAQ
Q1. 授業準備はどこまで簡略化してよいですか?
A. 学習目標の達成、安全面、必要な配慮が確保できる範囲で、教材の装飾や資料の量は減らせます。ただし、児童生徒の実態や学校の指導方針によって必要な準備は異なるため、学年主任や管理職と確認してください。
Q2. 他の教員の授業案や教材を使っても問題ありませんか?
A. 学校内で共有が認められた資料であれば、再利用は時短につながります。ただし、著作権、個人情報、校内限定資料の取り扱いには注意が必要です。インターネット上の教材や画像を使う場合も、学校の規程と利用条件を確認してください。
Q3. 授業準備で毎日遅くなる場合、転職を考えるべきですか?
A. すぐに結論を出す必要はありません。まずは、授業準備の削減、教材共有、校務分担の見直し、勤務時間の記録、相談を行い、それでも改善する見込みがあるかを確認しましょう。心身の不調がある場合は、無理に勤務を続けず、医療機関や勤務先の相談窓口などに相談してください。休暇・休職などの扱いは、任命権者や学校法人などの規程によって異なります。
まとめ
教員の授業準備が終わらないときは、努力不足ではなく、準備の範囲や業務の分担が整理されていない可能性があります。まずは次の順番で見直しましょう。
- 授業のゴールを1文で決める
- 必須・できれば・今回は不要に分ける
- 中心活動とつまずきの予想を先に決める
- 教材を再利用・共有する
- 終わらない状態が続くなら、勤務時間と作業内容を記録して相談する
授業の質を守ることと、教員が持続的に働けることは両立させる必要があります。一人で準備の負担を抱え込まず、学校全体の改善や自分に合う働き方も含めて考えていきましょう。
更新日:2026年9月13日
著者:しょぼい園長/先生のぐち編集部


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