結論からいうと、保育士の研修が勤務時間外に設定されていても、まずは「必須か任意か」「園から指示されているか」「研修時間を勤務として記録するのか」を確認しましょう。
業務上参加が義務づけられた研修や、園の指示によって受講する学習は、労働時間に当たる可能性があります。厚生労働省のガイドラインでも、使用者の指揮命令下にある時間や、業務上義務づけられた研修・教育訓練の受講時間は、労働時間の判断対象とされています。個別の扱いは雇用契約、就業規則、研修の案内方法、実際の指示内容などによって異なるため、断定せず確認することが大切です。 ([mhlw.go.jp](https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roudouzikan/070614-2.html?utm_source=openai))
この記事では、休日や勤務終了後に行われる研修について、保育士が確認すべき項目と、園への相談手順を整理します。
この記事の要点
- 研修の「必須・任意」と、誰の指示で参加するのかを確認する
- 研修時間、移動時間、事前課題などを分けて記録する
- 改善しない場合は、園内相談から公的な相談窓口まで段階的に進める
今日できる行動
- 研修案内のメール、掲示、チャット、勤務表を保存する
- 「参加は必須ですか」「勤務時間として扱いますか」と質問する
- 研修日時、開始・終了時刻、移動や事前課題の有無をメモする
- 回答が口頭だけの場合は、後から確認できる形で要点を整理する
今日中にすべて解決しようとせず、まずは事実を残すことから始めましょう。
保育士の研修に関する用語の定義
- 園内研修
- 園の職員向けに、園内で行われる保育実践、安全、感染症、虐待防止、保護者対応などの研修です。
- 園外研修
- 自治体、保育団体、研修機関などが実施し、園外の会場やオンラインで受講する研修です。
- 保育士等キャリアアップ研修
- こども家庭庁のガイドラインに基づき、専門分野別、マネジメント、保育実践などの研修が行われています。研修の実施主体や対象、時間などは、実施主体や年度の案内を確認してください。 ([cfa.go.jp](https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/e4b817c9-5282-4ccc-b0d5-ce15d7b5018c/7e3aecd6/20260402_policies_hoiku_223.pdf?utm_source=openai))
- 勤務時間外研修
- 所定労働時間の前後、休日、休憩時間などに設定される研修を、この記事では便宜上こう呼びます。勤務時間として扱われるかは、参加の義務、指示の有無、自由に断れるかなどを含めて個別に判断されます。
勤務時間外研修の確認ポイント比較表
| 確認項目 | 確認する内容 | 対応の目安 |
|---|---|---|
| 参加の扱い | 必須、原則参加、任意のどれか | 案内文や園長・主任の説明を保存する |
| 指示の有無 | 上司から個別に参加を求められたか | 「参加しない場合の扱い」も確認する |
| 時間の記録 | 開始・終了時刻を勤務記録に入れるか | タイムカード、勤怠システムの扱いを確認する |
| 賃金の扱い | 時間外勤務、休日勤務、手当などの扱い | 就業規則や給与規程も確認する |
| 費用負担 | 受講料、交通費、教材費の負担者 | 申請期限と精算方法を確認する |
| 事前・事後課題 | レポート、動画視聴、資料作成の有無 | 課題の時間も記録する |
「自主参加」と案内されていても、実際には欠席しにくい雰囲気がある、参加者が評価や役割分担で不利益を受けると説明されているなどの場合は、案内文だけで判断せず、具体的な状況を記録して相談しましょう。
園に確認するときの伝え方
いきなり「違法ではありませんか」と責めるより、まずは勤務上の扱いを確認する形にすると話し合いを始めやすくなります。
確認例
「○月○日の研修について確認させてください。参加は必須でしょうか。また、勤務時間外に参加する場合、開始・終了時刻は勤怠に記録する扱いでしょうか。受講料や交通費、事前課題の時間についても教えていただけますか」
回答を受けたら、日時、相手、内容を簡潔に記録します。メールで確認できる場合は、次のように書けます。
「本日ご説明いただいた内容について、確認のため記載します。○月○日の研修は参加必須、勤務時間の記録は○○、交通費は○○という理解で合っていますでしょうか」
園の回答が曖昧な場合は、「確認したい点」を一度に増やしすぎず、必須か任意か、勤務時間の扱い、費用負担の3点から確認すると整理しやすくなります。
具体例:休日のキャリアアップ研修を案内された場合
たとえば、園から「今後の役割に必要なので、日曜日にキャリアアップ研修を受けてください」と案内されたとします。
- 研修の名称、実施主体、受講期限を確認する
- 園として必須なのか、本人の希望による任意受講なのかを確認する
- 休日の受講時間、オンライン接続時間、課題作成時間の扱いを確認する
- 受講料、交通費、代替休暇や勤務調整の有無を確認する
- 回答と実際の受講時間を記録する
キャリアアップ研修は、実施主体や分野によって受講条件・時間・修了要件が異なるため、園の説明だけでなく、都道府県や指定研修実施機関の案内も確認してください。こども家庭庁のガイドラインでは、保育士等キャリアアップ研修について、専門分野別研修、マネジメント研修、保育実践研修などの区分が示されています。 ([cfa.go.jp](https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/e4b817c9-5282-4ccc-b0d5-ce15d7b5018c/7e3aecd6/20260402_policies_hoiku_223.pdf?utm_source=openai))
「資格や処遇改善に関係するから必ず休日に受けるもの」と決めつけず、現在の制度や園の運用を確認することが必要です。
参加後に残しておきたい記録
- 研修名、実施主体、開催日
- 開始時刻、終了時刻、休憩時間
- 会場までの移動時間やオンライン接続時間
- 事前課題、レポート、資料作成にかかった時間
- 誰から、どのような方法で参加を求められたか
- 勤怠に記録したか、記録できなかったか
- 給与明細や手当への反映状況
記録は、園の機密情報や園児の個人情報を持ち出さない形で行いましょう。自分の勤務実態を整理する目的で、日時と業務内容を簡潔に残すのが基本です。
転職前に見るべき研修制度のチェックリスト
- 園内研修は勤務時間内に行われているか
- 勤務時間外の研修がある場合、頻度と時間はどれくらいか
- 研修の参加は必須か、任意か
- オンライン研修の視聴時間や課題時間をどう扱うか
- 研修費、交通費、教材費の負担者は誰か
- 研修日の勤務調整や代休のルールがあるか
- 勤怠記録を正確に入力できるか
- 研修に参加しない場合の評価や配置への影響を説明しているか
- 求人票と面接時の説明に違いがないか
求人票だけでは研修の実態まで分からないことがあります。見学や面接では、「勤務時間外の研修は年間に何回ほどありますか」「研修時間は勤怠に記録しますか」と具体的に質問しましょう。
なお、勤務時間外研修だけでなく、残業代、持ち帰り業務、休憩、シフトの実態もあわせて確認すると、入職後のミスマッチを減らせます。詳しくは保育士の残業代が出ないときの確認手順も参考にしてください。
改善しない場合の相談手順
- 主任・園長に確認する:必須・任意、勤務時間、費用負担を具体的に聞く
- 法人本部や人事に相談する:園長に相談しても整理されない場合は、勤務先の相談窓口を使う
- 記録を整理する:案内、勤務表、勤怠、給与明細、実際の研修時間を時系列でまとめる
- 公的窓口に相談する:労働時間や賃金の問題が疑われる場合は、労働基準監督署や総合労働相談コーナーなどに相談する
厚生労働省は、労働条件に関する相談窓口として、労働基準監督署や総合労働相談コーナー、労働条件相談ほっとラインなどを案内しています。事案によって担当窓口が異なるため、まず状況を説明して、相談先を確認するとよいでしょう。 ([mhlw.go.jp](https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/kijyungaiyou/kijyungaiyou06.html?utm_source=openai))
健康への影響が出ている場合や、強い不安・不眠などがある場合は、労働問題だけでなく、医療機関や地域の相談窓口への相談も検討してください。症状や緊急性に応じた判断が必要です。
よくある質問
Q1. 任意参加の研修なら、勤務時間として扱われませんか?
「任意」と書かれているだけで一律に判断することはできません。実際に自由に断れるのか、参加しない場合に不利益があるのか、上司から参加を求められているのかなど、実態を確認してください。個別の労働時間該当性は、具体的な事情によって判断されます。
Q2. 研修の事前課題やレポート作成も勤務時間ですか?
園の指示で提出が必要なのか、内容や期限が指定されているのか、勤務中に行う時間が確保されているのかによって扱いが変わり得ます。課題の名称、指示内容、作業時間を記録し、園に勤務時間としての扱いを確認しましょう。
Q3. 園に相談しても改善しない場合、すぐ退職すべきですか?
すぐに退職を決める必要はありません。まずは研修の頻度、時間、賃金、相談への対応を記録し、改善可能性を見極めましょう。ただし、無理を重ねて心身に影響が出ている場合は、休むことや外部相談、転職準備を優先して構いません。退職や転職を考える場合は、保育士の求人票の見方も確認しておきましょう。
まとめ
保育士の研修が勤務時間外に設定されたときは、次の順番で確認しましょう。
- 研修が必須か任意か、誰の指示かを確認する
- 研修、移動、事前課題の時間を記録する
- 勤務時間、勤怠、賃金、費用負担の扱いを園に確認する
- 改善しない場合は、法人本部や公的な相談窓口に相談する
業務上義務づけられた研修や、園の指示で行う学習は、労働時間に当たる可能性があります。一方で、研修の形式や参加の実態によって判断は変わるため、法律上の扱いを自己判断で断定せず、記録をもとに公式の相談窓口へ確認してください。 ([mhlw.go.jp](https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roudouzikan/070614-2.html?utm_source=openai))
研修制度や職場の働き方に違和感があるなら、転職を急いで決める前に、条件を比較して整理することが大切です。
更新日:2026年9月13日
著者:しょぼい園長/先生のぐち編集部


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