結論:放デイ・学童の避難訓練は、「全員を避難させる」だけで終わらせず、子ども別の配慮、当日の人数、職員の役割、保護者への引き渡し、訓練後の改善まで一続きで確認することが大切です。
放課後児童クラブでは、災害や不審者侵入などを想定した定期的な避難訓練、役割分担、避難経路の確認、実施後の記録と改善が示されています。少なくとも年2回以上の訓練が示されている資料もありますが、地域・施設・事業種別によって確認すべき基準が異なるため、最新の自治体通知や指定権者の指示も確認してください。([cfa.go.jp](https://www.cfa.go.jp/sites/default/files/node/basic_page/field_ref_resources/69799c33-85cb-44f6-8c70-08ed3a292ab5/0d4e7db8/20230401_policies_kosodateshien_houkago-jidou_29.pdf?utm_source=openai))
この記事の要点3つ
- 避難経路より先に、子ども別の困りごとを洗い出す。音、混雑、切り替え、移動速度、言葉の理解などを確認します。
- 訓練当日は「誘導」「最後尾確認」「点呼」「連絡」「記録」を分担する。一人の職員に複数の重要役割を集中させないことがポイントです。
- 訓練後は反省会で終わらせず、次回の改善担当と期限を決める。実施記録は、次の訓練や防災計画の見直しに使います。
今日できる行動
- 利用予定表を見ながら、避難時に個別配慮が必要な子どもを3人以内で洗い出す。
- 避難先までの経路を実際に歩き、段差、狭い場所、交通量、トイレ、待機場所を確認する。
- 職員名簿の横に「誘導・最後尾・点呼・連絡・記録」の担当欄を作る。
- 訓練後に記録する項目を先に決める。例は「避難開始時刻」「全員確認時刻」「困った場面」「改善策」です。
避難訓練・避難計画・BCPの違い
| 項目 | 意味 | 現場で確認すること |
|---|---|---|
| 避難訓練 | 災害や緊急事態を想定して、実際の動きを確認する機会 | 子どもの動き、職員の役割、点呼、避難経路、保護者連絡 |
| 避難計画・防災計画 | どのような事態に、誰が、どこへ、どう避難するかを定めたもの | 想定災害、避難先、経路、役割分担、連絡方法 |
| BCP | 災害発生後も必要なサービスを継続し、早期に再開するための計画 | 職員参集、連絡手段、休業判断、備蓄、代替体制、再開手順 |
放デイを含む障害福祉サービス事業所向けには、厚生労働省が自然災害発生時のBCPガイドラインを公開しています。事業所の計画がある場合は、避難訓練の内容がBCPの想定と一致しているかも確認しましょう。制度上の扱いや最新の運用は、指定権者や自治体へ確認してください。([mhlw.go.jp](https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_17517.html?utm_source=openai))
訓練前に確認するチェックリスト
- □ 想定する災害を決めた。例:地震、火災、水害、土砂災害
- □ 訓練の時間帯を決めた。来所直後、活動中、帰宅前など
- □ 当日の利用予定児童と職員数を確認した
- □ 避難経路と避難先を実際に確認した
- □ 避難先での点呼場所と待機場所を決めた
- □ 連絡手段を確認した。電話、メール、連絡アプリなど
- □ 非常持出袋、名簿、連絡先、救急用品、飲料水を確認した
- □ 車いす、歩行補助具、イヤーマフ、絵カードなど必要な物品を準備した
- □ 学校、保護者、近隣施設など、共有が必要な相手を整理した
- □ 訓練後の記録担当と振り返りの時間を決めた
子ども別の配慮を比較する
| 子どもの様子 | 起こりやすい困りごと | 事前に決める配慮 |
|---|---|---|
| 大きな音が苦手 | サイレンや周囲の声で混乱する | 予告、イヤーマフ、静かな位置での待機、短い指示 |
| 見通しが持ちにくい | 急な予定変更で動けなくなる | 写真や絵カードで順番を提示、「次は避難場所」と具体的に伝える |
| 走り出しやすい | 避難中に列から離れる | 職員の立ち位置を固定し、前後から見守る。必要な支援方法は個別計画等と整合させる |
| 歩行に時間がかかる | 集団の速度についていけない | 先に出るか最後に出るか、休憩場所、補助具の扱いを決める |
| 言葉の指示が伝わりにくい | 「急いで」「危ない」だけでは動けない | 一文を短くし、指差しや実演を組み合わせる |
| 医療的な配慮が必要 | 避難中に必要物品や薬が手元にない | 持出品、保管場所、対応できる職員、保護者・関係機関への確認事項を整理する |
個別の医療行為や服薬、医療的ケアの対応は、職員の資格・研修、主治医の指示、保護者との取り決め、自治体や事業所の手順によって異なります。この記事だけで判断せず、必ず事業所の管理者や関係機関へ確認してください。
避難訓練当日の進め方
1. 開始前に役割を声に出して確認する
「誘導はAさん、最後尾はBさん、点呼はCさん、保護者連絡は管理者、記録はDさん」のように、担当と代替担当を確認します。職員が少ない場合は、点呼を優先し、連絡や記録は安全確保後に行うなど、優先順位を決めておきます。
2. 子どもに伝える言葉を統一する
「地震の練習です。先生の近くに集まります」「今から外へ移動します。前の人について歩きます」など、短く具体的に伝えます。大声で繰り返し指示するより、視覚提示や個別の声かけを組み合わせます。
3. 避難後は人数だけでなく状態も確認する
- 在籍児童と職員の人数
- けが、体調不良、パニックの有無
- 持出品の不足
- 避難経路から離れた子どもの有無
- 次の移動や待機が可能か
4. 引き渡しまでを想定する
災害時は、保護者がすぐに到着できるとは限りません。引き渡し場所、本人確認の方法、代理人の確認、連絡がつかない場合の待機方法などを、施設の方針と自治体の情報に基づいて確認します。既存の学校連携と情報共有の記事も、学校や関係機関との事前確認に活用できます。
具体例:地震を想定した15分訓練
想定:平日の活動中に震度5弱程度の地震が発生したと想定し、施設内の安全確保から近隣の指定避難場所への移動までを確認します。実際の避難先や災害想定は地域のハザードマップ等で確認してください。
- 0~2分:職員が「地震です」と伝え、子どもを机の下や安全な場所へ誘導する。
- 2~5分:揺れが収まった想定で、けが人、火元、出入口、危険物を確認する。
- 5~8分:名簿、携帯電話、救急用品、必要な個別支援用品を持って整列する。
- 8~12分:役割分担に沿って避難先へ移動する。最後尾担当は施設内や経路上の残留者を確認する。
- 12~15分:到着後に点呼し、子どもの状態と物品を確認する。職員間で短時間の振り返りを行う。
実際の訓練では、すべてを一度に実施せず、「施設外への避難」「点呼」「保護者連絡」などに分けても構いません。子どもの不安が強くなる場合は、訓練の目的を保ったまま、予告や見学形式など負担を調整します。
訓練後の記録チェックリスト
- □ 実施日、時間、想定災害、参加者を記録した
- □ 避難開始時刻、避難完了時刻、点呼完了時刻を記録した
- □ 避難経路や避難先で危険な箇所がなかったか記録した
- □ 子ども別に、困った場面と有効だった支援を記録した
- □ 職員の役割分担に無理や重複がなかったか確認した
- □ 持出品の不足、破損、保管場所の問題を記録した
- □ 保護者や学校との連絡方法に問題がなかったか確認した
- □ 改善策、担当者、実施期限を決めた
- □ 次回訓練で再確認する項目を残した
記録は「問題なし」だけで終わらせず、「誰が見ても次の行動が分かる」書き方にします。たとえば、「避難が遅れた」ではなく、「玄関前で靴を履く子どもが集中し、最後尾確認が遅れた。次回は避難用の履物と待機位置を事前に決める」のように書くと改善につながります。
FAQ
Q1. 避難訓練は年に何回行えばよいですか?
A. 放課後児童クラブ向けのこども家庭庁資料では、災害や不審者侵入等を想定した避難訓練を「少なくとも年に2回以上」とする説明があります。ただし、放デイと学童では根拠となる制度や自治体の運用が異なる場合があるため、指定権者、市区町村、消防などの最新情報を確認してください。回数だけでなく、時間帯や参加児童、避難先を変えて実効性を高めることも重要です。([cfa.go.jp](https://www.cfa.go.jp/sites/default/files/node/basic_page/field_ref_resources/69799c33-85cb-44f6-8c70-08ed3a292ab5/0d4e7db8/20230401_policies_kosodateshien_houkago-jidou_29.pdf?utm_source=openai))
Q2. 子どもが訓練を怖がる場合はどうすればよいですか?
A. 事前に目的と流れを伝え、絵カード、写真、短い説明、見学からの参加など、負担を調整します。大きな音が苦手な子どもには、音を小さくする、イヤーマフを使う、職員が近くで見通しを伝えるなどの方法を検討します。個別の支援方法は、保護者や関係職員と共有し、本人に合う方法を確認してください。
Q3. 訓練記録はどこまで詳しく書けばよいですか?
A. 少なくとも、実施日時、想定、参加者、避難経路、所要時間、点呼結果、子どもの様子、課題、改善策、担当者、期限を残すと実務に使いやすくなります。個人情報を含む記録は、事業所の保管ルールに従い、必要な範囲で管理してください。自治体や法人が指定する様式がある場合は、それを優先します。
まとめ
放デイ・学童の避難訓練で重要なのは、形式的に避難経路を歩くことではありません。子ども別の配慮を決め、職員の役割を分担し、点呼と引き渡しまで確認し、訓練後に改善を実行することが実効性につながります。
- 訓練前に、災害想定・人数・避難先・子ども別の配慮を確認する
- 当日は、誘導・最後尾確認・点呼・連絡・記録を分担する
- 訓練後は、課題だけでなく担当者と期限まで記録する
- 制度や地域の避難先、引き渡し方法は自治体・指定権者の最新情報を確認する
まずは次回の訓練予定日を決め、利用予定児童を見ながら「個別配慮が必要な子ども」と「職員の役割」を1枚にまとめるところから始めましょう。
更新日:2026年10月7日
著者:しょぼい園長/先生のぐち編集部


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