保育士の与薬対応|預かり・確認・記録の手順

保育士の悩み

結論:保育園の与薬は、園の規程と自治体の運用を確認したうえで、医師の指示に基づく薬か、対象児・薬名・量・時間・方法が一致しているかを複数人で確認し、受け取りから実施後まで記録することが基本です。迷う情報がある、書類が不足している、薬の内容が変わっている場合は、自己判断で与薬せず、園長や看護師などに確認します。

厚生労働省の資料では、与薬依頼票による確認、誤飲を防ぐ保管、重複与薬や人違いを防ぐ複数職員での確認などが示されています。ただし、実際の運用は自治体・法人・園の規程によって異なるため、この記事は園内手順を整えるための一般的な実務整理として活用してください。([mhlw.go.jp](https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000zj6g-att/2r9852000000zjc8.pdf?utm_source=openai))

保育士が押さえたい要点3つ

1. 「預かったから与える」ではなく、条件を確認する

薬を受け取った時点で、すぐに与薬できるとは限りません。園の規程で認められている薬か、保護者からの依頼内容が明確か、医師の指示や処方内容を確認できるかを確認します。

2. 1人で判断せず、本人・薬・指示を照合する

与薬時は、子どもの氏名、薬袋や容器、与薬依頼票、与薬時刻、量、方法を照合します。確認者を決め、声に出して確認する、チェック欄に記録するなど、園内で同じ方法を使うことが大切です。

3. 「飲めたか」だけでなく、経過まで記録する

与薬の有無、実施時刻、実施者、確認者、飲めなかった場合の状況、保護者への連絡内容を残します。記録は、後から事実関係を確認し、職員間で正確に引き継ぐために必要です。

今日できる行動

  • 園の「与薬依頼票」「薬の預かり規程」「緊急時の連絡先」を確認する
  • 薬を受け取る職員と、与薬を担当する職員を決める
  • 薬袋・依頼票・記録欄の照合項目を1枚にまとめる
  • 冷蔵が必要な薬や保管場所に指定がある薬の扱いを確認する
  • 飲めなかった場合、吐き出した場合、時間を過ぎた場合の連絡手順を確認する

保育の安全管理や家庭との連携を見直したい場合は、保育士向けの実務記事一覧を見ることもできます。

保育園の「与薬」とは

この記事でいう与薬とは、保護者から預かった処方薬などを、園の定めた手順に沿って子どもに使用・服用させる業務を指します。保育所では、保護者が日中に服薬させることが難しい場合がある一方、薬の取り扱いには誤薬、重複、保管ミスなどのリスクがあります。

そのため、与薬を受け付けるか、どの薬を対象にするか、どの書類が必要かは、園ごとの規程を優先します。医療行為に当たるかどうかや、特定の薬を保育士が扱えるかについては、薬の種類・方法・状況によって判断が分かれる可能性があるため、疑問がある場合は園長、看護師、嘱託医、自治体などに確認してください。

与薬の基本手順

1. 登園時に受け取る

  • 子どもの氏名を確認する
  • 薬の名称、剤形、量、使用時刻、使用方法を確認する
  • 薬袋や容器に記載された内容と、与薬依頼票の内容を照合する
  • 処方変更や一時的な追加がないか、保護者に確認する
  • 受け取り日時、受け取った職員、保管場所を記録する

2. 指定された方法で保管する

他児が誤って触れたり、別の子どもの薬と混ざったりしないよう、園の規程に従って保管します。常温・冷蔵などの保管条件がある場合は、薬袋や薬剤師の説明、園の手順を確認し、判断に迷う場合は使用前に確認します。

3. 与薬前にダブルチェックする

与薬直前に、次の項目を確認します。

確認項目 見るもの 確認のポイント
本人 子どもの氏名・顔 同姓や似た名前の子どもと取り違えていないか
薬 薬袋・容器・現物 対象児の薬か、期限や状態に問題がないか
量 依頼票・薬袋 1回量を勝手に増減していないか
時間 依頼票・時計 予定時刻と大きくずれていないか
方法 依頼票・保護者の説明 内服、塗布などの方法が一致しているか
実施者 園内の担当表 担当者と確認者が明確になっているか

4. 子どもの様子を見ながら実施する

子どもが強く拒否している、眠っている、吐き気がある、体調が普段と違うなどの場合は、無理に進めないことが重要です。飲めなかった、吐き出した、こぼしたなどの状況では、追加で与えるかどうかを自己判断せず、園長や看護師、保護者、必要に応じて医療機関などへ確認します。

5. 実施後に記録する

  • 実施日・時刻
  • 子どもの状態
  • 薬の内容と実施方法
  • 実施者・確認者
  • 飲めなかった、吐き出した、拒否したなどの事実
  • 保護者へ伝えた内容と時刻

与薬チェックリスト

場面 チェック項目
受け取り □ 子どもの氏名を確認した
□ 与薬依頼票など必要書類を確認した
□ 薬袋・容器と依頼内容が一致している
□ 受け取り日時と職員名を記録した
保管 □ 他児の薬と分けた
□ 園の指定場所に保管した
□ 冷蔵などの条件を確認した
□ 返却が必要な薬を把握した
与薬前 □ 本人を確認した
□ 薬名・量・時刻・方法を確認した
□ 変更や中止の連絡がないか確認した
□ 2人以上で照合した、または園の定めた確認方法を実施した
与薬後 □ 実施時刻を記録した
□ 飲めたか、使用できたかを確認した
□ 子どもの様子を観察した
□ 必要な連絡を保護者・管理者へ行った
返却 □ 返却日時と返却者を記録した
□ 残薬や未使用薬を確認した
□ 次回の依頼内容に変更がないか確認した

具体例:与薬時刻に子どもが昼寝していた場合

状況:昼食後に内服する薬を預かっていたが、予定時刻に子どもが眠っていた。

避けたい対応:起こして急いで飲ませる、起きるまで薬を室内に置く、時刻が過ぎたから職員の判断で省略・追加する。

対応例:

  1. 薬を子どもの手の届かない指定場所へ戻す
  2. 予定時刻、睡眠状態、薬の内容を記録する
  3. 園の規程に従い、園長や看護師へ報告する
  4. 必要に応じて保護者へ「予定時刻に睡眠中だったため、まだ実施していません」と事実を伝える
  5. 実施するか、見送るか、医療職等へ確認した内容を記録する

ここで大切なのは、保育士が薬の効果や次の服用時刻を独自に判断しないことです。判断に必要な情報が不足している場合は、確認が取れるまで保留します。

与薬ミスや確認漏れが起きたとき

誤薬、重複、量の間違い、別児への誤交付、与薬忘れなどが疑われる場合は、隠さず速やかに管理者へ報告します。子どもの状態に変化がある場合や、薬の内容・量に不明点がある場合は、園の緊急時手順に従い、保護者、嘱託医、医療機関、救急などへ連絡します。連絡先や判断基準は園のマニュアルと自治体の指示を確認してください。

記録には、推測や責任追及ではなく、いつ、誰が、何を確認し、何が起きたか、誰へ連絡し、どの指示を受けたかを時系列で残します。

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FAQ

Q1. 市販薬や保護者の判断で購入した薬を預かってもよいですか?

園の規程によって異なります。厚生労働省の資料では、保育所での与薬は医師の指示に基づく薬に限定する考え方が示されていますが、具体的な対象や必要書類は自治体・法人・園で確認が必要です。自己判断で受け付けず、管理者へ確認してください。([mhlw.go.jp](https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000zj6g-att/2r9852000000zjc8.pdf?utm_source=openai))

Q2. 薬を飲めなかった場合、もう一度飲ませてもよいですか?

薬の種類や飲めなかった理由によって対応が変わるため、保育士が追加で与えるかどうかを独自に決めないでください。吐き出した、こぼした、拒否した、時間がずれたなどの事実を記録し、園の手順に従って管理者や保護者、必要な専門職へ確認します。

Q3. 与薬は必ず2人で行う必要がありますか?

厚生労働省の参考資料では、重複与薬、人違い、量の誤認、与薬忘れなどを防ぐため、複数の保育士等で確認することが示されています。一方、具体的な方法や職員配置は園の規程を確認してください。2人確認が難しい時間帯も含め、代替の記録方法や管理者確認の仕組みを決めておくことが重要です。([mhlw.go.jp](https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000zj6g-att/2r9852000000zjc8.pdf?utm_source=openai))

まとめ

保育士の与薬対応では、次の3点を共通ルールにするとミスを減らしやすくなります。

  • 園の規程と自治体の運用を先に確認する
  • 本人・薬・量・時刻・方法を照合し、複数人または定められた方法で確認する
  • 受け取り、保管、実施、未実施、返却、連絡まで事実を記録する

与薬は、子どもの健康に関わるため、忙しい時間帯ほど「一度止まって確認する」仕組みが必要です。園独自の与薬依頼票やチェックリストを見直し、誰が担当しても同じ確認ができる状態を整えましょう。

更新日:2026年10月8日
著者:しょぼい園長/先生のぐち編集部

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