放デイの個別支援計画|目標の立て方と記入例

放デイ・学童の悩み

結論:放デイの個別支援計画の目標は、「困りごと」ではなく、本人の生活場面で確認できる行動に置き換えて書くことが大切です。「落ち着いて過ごす」「コミュニケーション能力を高める」のような抽象的な表現だけでは、支援方法や評価が職員によって変わりやすくなります。

この記事では、放課後等デイサービスで個別支援計画を作成・見直しするときの目標設定を、現場で使いやすい形に整理します。なお、書式や運用、報酬算定に関する扱いは、最新の通知や指定権者である自治体、法人のルールを必ず確認してください。

先に押さえたい3つの要点

  • 本人・家族の意向を出発点にする:事業所が支援したいことだけでなく、本人が望む生活や家族の希望を確認します。
  • 目標は行動と場面で具体化する:「いつ・どこで・何ができるとよいか」を書くと、職員間で共有しやすくなります。
  • 支援内容と評価方法をセットにする:目標だけでなく、どのような声かけや環境調整を行い、何を見て振り返るかまで決めます。

個別支援計画とは

個別支援計画とは、子どもの発達段階や特性、本人・家族の意向、生活上のニーズなどを踏まえ、事業所としての支援方針や具体的な支援内容を整理する計画です。

こども家庭庁の放課後等デイサービスガイドラインでは、本人支援だけでなく、家族支援、移行支援、地域支援・地域連携などの視点も示されています。個別支援計画の様式や見直し時期については、制度改正や自治体の運用によって確認が必要です。全国共通の考え方として参考にしつつ、実際の作成手順は事業所の管理者や児童発達支援管理責任者に確認しましょう。

目標を立てる5ステップ

1. 本人・家族の意向を確認する

最初に、「本人は何をしたいのか」「家族はどのような生活を望んでいるのか」を確認します。本人の発言だけでなく、選択の様子、表情、行動、家庭や学校での様子も手がかりになります。

例えば、家族が「集団活動に参加してほしい」と話していても、本人は「友達と一緒に遊びたい」のか、「活動の見通しが分からず不安」なのかで支援は変わります。

2. 困りごとを生活場面に分解する

「落ち着きがない」「友達と関われない」と一括りにせず、場面を分けて考えます。

  • 到着後の荷物整理で止まってしまう
  • 活動の切り替え時に不安が強くなる
  • 遊びに誘いたいが、言葉のかけ方が分からない
  • 負けたときに気持ちを切り替えにくい

このように分けると、目標にする場面と支援方法が見えやすくなります。

3. まずは「できること」を確認する

課題だけでなく、すでにできていること、条件が整えばできることを確認します。例えば、「職員が写真カードを示すと、次の活動へ移れる」「一対一なら順番を待てる」などです。

できる条件を把握すると、本人の強みを活かした無理のない目標を設定できます。

4. 目標を観察できる行動に置き換える

「自信を持つ」「社会性を伸ばす」だけでは、達成したかどうかを判断しにくい表現です。本人の生活上の変化として観察できる行動に置き換えます。

5. 支援方法と評価方法を決める

目標に対して、職員が何をするのかを決めます。声かけ、視覚的な手がかり、選択肢の提示、環境調整、活動時間の調整など、具体的に書きましょう。

評価は「できた・できない」だけでなく、支援の量、場面、本人の負担感、できた条件も記録します。記録の書き方は、放デイ・学童の支援記録の書き方も参考にしてください。

抽象的な目標と具体的な目標の比較

抽象的な書き方 具体化した書き方 支援・評価の例
落ち着いて過ごす 予定変更があるとき、職員の説明や予定表を確認し、次の行動を選ぶ 予定表の提示、選択肢の提示、切り替えまでの時間を記録
友達と関わる 職員の仲介を受けながら、友達に「入れて」と伝えて遊びに参加する 誘い方のモデル提示、成功した場面と支援量を記録
気持ちを切り替える 負けたときに、職員へ気持ちを伝え、休憩または別の活動を選ぶ 感情カード、休憩場所、選択肢を用意する
身の回りのことを自分でする 来所後、写真付き手順を見ながら、荷物を所定の場所に置く 手順カード、声かけの回数、完了までの時間を確認

個別支援計画の目標記入例

例1:切り替えに時間がかかる場合

本人の意向:好きな活動をできるだけ続けたい。

長期的な方向性:予定の変更や活動終了の見通しを持ち、安心して次の活動へ移れるようにする。

短期目標の例:終了の5分前に予告を受け、写真付き予定表を確認したうえで、職員と一緒に次の活動を選ぶ。

支援内容の例:終了予告、視覚的な予定提示、選択肢の提示を行う。切り替えが難しいときは、無理に急がせず、気持ちを言葉やカードで表せるよう支援する。

例2:友達との関わりに不安がある場合

本人の意向:友達と遊びたいが、声をかけるのは苦手。

長期的な方向性:本人に合った方法で他者との関わりを経験し、安心して集団活動に参加できるようにする。

短期目標の例:職員のモデル提示や仲介を受けながら、遊びに参加するための言葉またはカードを使って意思を伝える。

支援内容の例:本人が参加しやすい遊びを選び、職員が最初の声かけを補助する。参加後は、本人ができた行動を具体的に伝えて振り返る。

学童と放デイで考え方は同じ?

学童と放デイは、どちらも放課後の子どもを支援しますが、制度上の目的や計画の扱いは同じではありません。

項目 放課後等デイサービス 放課後児童クラブ・学童
主な役割 障害のある子どもへの発達支援、家族支援、移行支援など 放課後の生活・遊びの場の提供と健全育成
計画 個別支援計画を作成し、支援方針や内容を整理する 自治体や運営法人の様式・運用により、個別の記録や支援計画の扱いを確認する
目標設定 本人の発達上のニーズや生活場面を踏まえて設定 集団生活での安心、安全、友達関係、生活習慣などを個別に把握
確認先 こども家庭庁、指定権者、法人の運用 自治体の放課後児童クラブ担当課、運営法人の方針

学童で放デイの様式をそのまま使うのではなく、事業の目的と自治体・法人のルールに合わせることが重要です。

今日できる3つの行動

  1. 目標を1つ選び、「どの場面で」を追記する。
    例:「切り替えができる」ではなく「活動終了の予告後に、次の活動を選ぶ」。
  2. 職員3人で同じ事例を読み、観察できる行動を1文にする。
    表現のばらつきを減らすため、本人の行動と職員の支援を分けて考えます。
  3. 直近の支援記録を3件見返し、できた条件を探す。
    時間帯、活動、人数、声かけ、環境などから、本人が力を発揮しやすい条件を確認します。

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作成・見直し前のチェックリスト

  • 本人の意向を確認した内容が入っている
  • 家族の希望と本人の希望を分けて整理している
  • 課題だけでなく、本人の強みやできる条件を書いている
  • 目標が「いつ・どこで・何をするか」まで具体化されている
  • 支援方法が職員の行動として書かれている
  • 達成したかを判断する観察ポイントがある
  • 本人に過度な負担をかける目標になっていない
  • 学校、家庭、相談支援などとの役割分担を確認している
  • 個人情報の共有について、必要な同意や事業所の手続きを確認している
  • 見直し時期や手続きについて、最新の通知・自治体ルールを確認している

よくある質問

Q1. 個別支援計画の目標は、何個くらい設定すればよいですか?

一律の個数を自己判断で決めるのではなく、本人の優先課題や事業所の様式、指定権者・法人の運用を確認してください。目標を増やしすぎると、支援が分散して評価しにくくなるため、優先順位を付けることが大切です。

Q2. 「できるようにする」という表現は使ってもよいですか?

使えないわけではありませんが、「何を」「どの場面で」「どの程度できるとよいか」を補足すると、より実務的になります。例えば「自分でできるようにする」より、「写真付き手順を見ながら、帰宅準備を進める」のほうが支援と評価につなげやすい表現です。

Q3. 目標を達成できなかった場合は、本人の努力不足ですか?

そうとは限りません。目標の難易度、支援方法、環境、本人の体調や生活状況などを含めて振り返ります。目標を小さく分ける、支援方法を変える、本人の意向を再確認するなどの調整を検討してください。制度上の見直し時期や記録の扱いは、最新の公式通知と事業所の責任者に確認しましょう。

まとめ

放デイの個別支援計画では、本人・家族の意向を起点に、生活場面で観察できる行動へ目標を具体化することが重要です。

  • 「困りごと」を場面ごとの行動に分解する
  • 本人の強みと、できる条件を確認する
  • 目標・支援方法・評価方法をセットで書く
  • 学童と放デイでは制度や計画の扱いが異なるため、自治体・法人の運用を確認する

個別支援計画は、書類を完成させることが目的ではありません。職員が同じ方向を向き、本人に合った支援を見直すための共通の道具として活用しましょう。

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公式情報・参照先

更新日:2026年9月11日
著者:しょぼい園長/先生のぐち編集部

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