結論:授業中の端末トラブルは、「直す」より先に「授業を切り替える・情報を守る・記録する」の順で対応します。
全員の操作を止めて原因を探し続けると、学習時間の減少や混乱につながります。まずは紙の教材、黒板、口頭説明、ペア活動などへ切り替え、授業後または担当者の支援が得られる時間に確認しましょう。
この記事の要点3つ
- 授業継続を優先する:端末が使えない児童生徒だけ別課題に切り替え、全体の学習を止めない。
- 情報を守る:パスワードを他人に伝えたり、個人情報が表示された画面を撮影・共有したりしない。
- 事実を残す:「いつ・誰の端末で・何が起きたか・何をしたか」を評価や推測と分けて記録する。
今日できる行動
- 黒板や紙で代替できる「5分課題」を1つ用意する。
- 校内のICT担当者、学年主任、管理職への連絡方法を確認する。
- 端末番号や利用者を確認できる記録様式を、職員室または校務システム内ですぐ使える状態にする。
- 児童生徒に「何度も再起動しない」「パスワードを見せない」「困ったら挙手する」と短く伝える。
端末トラブルの定義
この記事でいう端末トラブルとは、授業で使うタブレット、パソコン、電子黒板、学習用アプリ、校内ネットワークなどが、予定どおり利用できない状態を指します。たとえば、ログインできない、通信が不安定、画面が固まる、充電できない、アプリが開かない、端末を落として破損した、といったケースです。
原因が端末本体なのか、アカウントなのか、ネットワークなのかは、教員だけでは判断できない場合があります。無理に設定変更や初期化をせず、学校の運用ルールに従ってください。
授業中の初動は4段階
1. 安全と授業への影響を確認する
端末の発熱、焦げたにおい、破損した画面、液体の付着、電源ケーブルの異常がある場合は、無理に使い続けません。児童生徒を端末から離し、必要に応じて管理職や担当者へ連絡します。けがや体調不良がある場合は、学校の安全対応を優先してください。
2. 代替手段へ切り替える
「端末を直す係」と「授業を進める係」を分けられる場合は分担します。難しい場合は、次のように短く指示します。
- 全員の端末を閉じて、教科書○ページを開く
- 画面が使える人は個人作業、使えない人は紙に記入する
- 提出は授業後に担当者へ状況を伝えてから行う
3. 個人情報・アカウントを守る
ログイン画面や名簿、児童生徒の作品、健康情報などが表示された端末を、必要のない人に見せたり撮影したりしないようにします。パスワードの再入力を求められても、教員や友人に口頭で伝えさせる方法は避け、学校が定めた手順を使います。
個人情報を含む画面の誤送信や、第三者による閲覧が疑われる場合は、自己判断で削除・隠蔽せず、速やかに管理職や情報セキュリティ担当者へ報告してください。詳細は教員の個人情報持ち出し防止|紙・端末・共有の確認手順も参考になります。
4. 事実を記録して引き継ぐ
記録は、原因を断定するためではなく、次の担当者が同じ確認を繰り返さないために残します。端末番号、児童生徒名または座席番号、発生時刻、表示されたメッセージ、授業への影響、実施した操作、連絡先を記載します。
授業を守るための相談先や職場での困りごとは、先生向け相談窓口もご利用ください。
先生のぐち|教員向け相談・情報はこちら
症状別の対応比較表
| 症状 | 授業中の切り替え | 避けたい対応 | 記録すること |
|---|---|---|---|
| ログインできない | 紙課題や隣の児童生徒との確認活動へ切り替える | パスワードを周囲に聞く、共有する | 時刻、端末番号、表示文言、対象アカウント |
| 通信できない | 保存済み教材、黒板、教科書を使う | 全員で何度も再接続を繰り返す | 発生範囲、接続状況、他端末の状況 |
| 画面が固まる | 別教材へ移り、担当者の指示を待つ | 自己判断で初期化する | 操作直前の状況、エラー表示、再起動の有無 |
| 端末を落とした・破損した | 使用を中止し、安全な場所で保管する | そのまま使う、個人で修理する | 発生場所、破損箇所、けがの有無、目撃状況 |
| 個人情報が誤表示・誤送信された疑い | 画面共有や送信を止め、管理職等へ連絡する | 証拠を消す、関係者へ独自に拡散する | 誰が、いつ、何を見た・送った可能性があるか |
端末の故障時にメーカー修理を依頼するか、代替機を使うか、データをどう扱うかは、自治体・学校・契約事業者の手順により異なります。文部科学省のガイドラインも参考にしつつ、校内の正式な窓口へ確認してください。
教員が使える記録テンプレート
発生日時:2026年 月 日 時 分ごろ 場所・授業: 対象端末番号・座席番号: 発生した事実: 表示されたメッセージ: 授業への影響: その場で行った対応: 個人情報・アカウントへの影響の有無: 連絡した相手・時刻: 次に確認すること:
「故障した」「生徒が壊した」と断定する前に、確認できた事実を書きます。たとえば「机から落下し、画面右上にひびを確認した」は事実ですが、「故意に壊した」は追加確認が必要な評価です。
具体例:授業中に一部の端末だけ通信できない場合
社会科の調べ学習中、30人中5人の端末だけウェブページを開けなくなったとします。この場合、まず全員の授業を止めず、5人には教科書や印刷資料で調べる課題を渡します。同時に、5台の端末番号と発生時刻を記録し、ICT担当者へ連絡します。
担当者から指示があるまでは、児童生徒にIDやパスワードを共有させたり、設定を変更させたりしません。授業後に接続範囲やエラー表示を引き継げば、原因調査の材料になります。
よくある質問
Q1. 端末トラブルは授業担当者が最後まで直すべきですか?
いいえ。授業担当者の役割は、授業の安全と学習継続を確保し、必要な情報を担当者へつなぐことです。端末の設定変更、初期化、修理依頼の権限は学校や自治体のルールによって異なるため、無理に対応しないでください。
Q2. 児童生徒が「友だちのパスワードを知っている」と言ったらどうしますか?
パスワードを口頭で確認したり、教員が記録したりせず、学校が定めたアカウント管理の窓口へ報告します。不正利用や漏えいの可能性がある場合の対応は、校内の情報セキュリティ手順を優先してください。
Q3. 端末の故障が児童生徒の不注意に見える場合、すぐ保護者へ連絡しますか?
学校の報告基準や費用負担の扱いは、設置者・自治体・学校の規程によって異なります。まずは事実を記録し、管理職や端末担当者へ確認してください。教員個人の判断で責任や弁償を断定しないことが重要です。
まとめ
教員の授業中の端末トラブル対応は、次の順番で考えると整理しやすくなります。
- 安全上の問題がないか確認する
- 紙・黒板・口頭説明などへ切り替え、授業を継続する
- 個人情報やパスワードを守る
- 事実と対応を記録し、校内の担当者へ引き継ぐ
学校のICT環境、端末の種類、修理窓口、報告基準は一律ではありません。迷ったときは、校内のICT担当者、学年主任、管理職、教育委員会等の公式な窓口へ確認しましょう。保護者や校内への連絡を整理したい場合は、教員の電話対応が多いときの整理術|受付ルールと相談手順も役立ちます。
公式資料・参照先
※本記事は一般的な実務整理です。事故、個人情報、アカウント、不正アクセス、費用負担その他の扱いは、学校・自治体・教育委員会等の最新の規程を確認してください。
更新日:2026年9月30日 著者:しょぼい園長/先生のぐち編集部


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