結論:教員がいじめの相談を受けたときは、①相談した児童生徒の安全を確保する、②聞いた事実をそのまま記録する、③担任だけで抱えず校内の担当者・管理職へ速やかに共有する、の順で対応します。
その場で「いじめと断定できるか」「相手にも確認するか」を一人で決める必要はありません。まずは相談者の話を遮らず、学校のいじめ防止基本方針や校内手順に沿って、組織的な対応へつなげましょう。文部科学省も、いじめの兆候や児童生徒からの訴えを教職員が抱え込まず、学校の組織に報告・相談して対応する考え方を示しています。([mext.go.jp](https://www.mext.go.jp/content/20220221-mext_jidou02-000020436_06.pdf?utm_source=openai))
- 最初に聞くのは「評価」ではなく、いつ・どこで・何があったかという事実。
- 「誰にも言わない」と約束せず、安全確保のために必要な共有があると伝える。
- 相談を受けた時点で、学校のいじめ対応組織や管理職へ報告し、記録を残す。
今日できる行動
- 校内の「いじめ防止基本方針」「報告様式」「担当者」を確認する。
- 職員室や共有フォルダに、相談を受けた際の連絡ルートを掲示する。
- 相談を受けた場合に使う記録欄を準備する。項目は「日時・場所・相談者の言葉・確認した事実・安全面・共有先・次回確認日」とする。
- 管理職や学年主任に、「いじめかどうか未確定だが相談があった」と報告する練習をしておく。
いじめの相談を受けたときの「初期対応」とは
この記事でいう初期対応とは、相談を受けた直後から、相談者の安全を確認し、事実を整理し、必要な校内連携につなげるまでの対応です。初期対応の段階で、教員が最終的な事実認定や指導方針を一人で決めることを意味しません。
いじめ防止対策推進法では、学校と教職員には、児童生徒がいじめを受けていると思われるときに、適切かつ迅速に対処する責務が示されています。具体的な報告先や調査方法は、学校種、設置者、自治体、学校の基本方針によって異なるため、必ず所属校の手順を確認してください。([mext.go.jp](https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1406848.htm?utm_source=openai))
初期対応の流れ|聞く・守る・つなぐ・残す
| 段階 | 教員がすること | 避けたい対応 |
|---|---|---|
| 1. 安全確認 | 今も危険があるか、相手と接触する予定があるか、けがや強い不安がないかを確認する。 | 「少し様子を見よう」として、危険な状況を放置する。 |
| 2. 聞き取り | 相談者の言葉を遮らず、日時・場所・行為・見た人・現在の困りごとを確認する。 | 「本当に?」「あなたにも原因があるのでは」と評価する。 |
| 3. 校内共有 | 事実が確定していなくても、相談を受けた事実と安全面を管理職・担当組織へ報告する。 | 担任だけで解決しようとする、または口頭のみで終える。 |
| 4. 記録 | 発言は可能な限り本人の表現で記録し、推測や評価と分ける。 | 「仲が悪い」「いつものこと」など、根拠のない要約で残す。 |
| 5. 次回確認 | 次に誰が、いつ、安全と学校生活の様子を確認するか決める。 | 一度聞いて終わりにする。 |
相談を受けた直後の声かけ例
まず安心を伝える
「話してくれてありがとう。今、安全に過ごせているかを一緒に確認させてください」
「今聞いたことは、あなたを守るために必要な先生と共有することがあります。誰にも言わずにいるとは約束できないけれど、どう伝えるかは一緒に考えます」
事実を確認する
「いつ頃のことですか。覚えている範囲で大丈夫です」
「その場にいた人、見ていた人はいましたか」
「同じことは一度だけですか。最近も起きていますか」
「学校で特に不安な場所や時間帯はありますか」
避けたい声かけ
- 「それくらいは、よくあることです」
- 「相手も悪気はなかったのでは」
- 「あなたから謝れば終わるのでは」
- 「誰にも言わないから安心して」
- 「証拠はあるの?」
記録に残す項目チェックリスト
- □ 相談を受けた日時・場所・対応した教員名
- □ 相談者の氏名、学年、組
- □ 相談者が話した内容。可能な範囲で本人の言葉を引用
- □ いつ、どこで、誰から、何をされたか
- □ 目撃者、メッセージ、画像などの有無
- □ けが、体調不良、欠席意向、登下校への不安など安全面
- □ その場で行った対応
- □ 報告・相談した相手と時刻
- □ 保護者への連絡方針。独断で連絡せず、校内方針を確認
- □ 次回の確認日時と担当者
記録では、「いじめがあった」と結論だけを書くのではなく、「本人が何を訴えたか」「教員が何を確認したか」「今後何を確認するか」を分けて書くと、校内で共有しやすくなります。
校内共有の伝え方|短く事実をそろえる
報告時は、次の順番にすると要点が伝わります。
- 相談:「本日、〇時ごろ、〇年〇組の児童生徒から相談を受けました」
- 事実:「本人は、〇月〇日ごろに〇〇されたと話しています」
- 安全:「現在、〇〇の時間に不安があり、明日の登校を心配しています」
- 対応:「本人には、必要な教職員へ共有することを説明しました」
- 依頼:「学校の手順に沿った次の対応を確認したいです」
いじめへの対応では、担任など特定の教員が抱え込まず、学校全体で組織的に対応することが重要とされています。([mext.go.jp](https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/06102402/001.htm?utm_source=openai))
具体例:休み時間のからかいを相談された場合
相談内容:「休み時間に数人から毎日『きもい』『来るな』と言われる。教室に戻りたくない」
初期対応の例:
- 相談者を落ち着いて話せる場所へ移し、現在の安全と次の休み時間の過ごし方を確認する。
- 「いつから」「どの場所で」「誰が」「どのような言葉を言ったか」「見ていた人」を聞く。
- 相談者の言葉を記録し、本人に記録内容を確認する。
- 学年主任、管理職、校内のいじめ対応組織へ報告する。
- 相談者と、次に様子を確認する日時・担当者を決める。
- 相手側への聞き取りや保護者連絡は、校内で方針をそろえてから行う。
この場面で、相談者の前で相手児童生徒を問い詰めたり、双方をすぐに同席させたりすることが適切とは限りません。安全確保と校内方針を優先し、必要に応じて管理職、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、教育委員会などへの相談を検討してください。
なお、相談内容に自傷、希死念慮、重大なけが、脅迫、性的な被害、犯罪が疑われる行為などが含まれる場合は、通常の学級内対応だけで判断せず、直ちに管理職や関係機関へ報告してください。緊急性がある場合の連絡先や手順は、学校・自治体の危機対応マニュアルを確認します。自傷や希死念慮が関係する場合は、教員が生徒の自傷・希死念慮を聞いたときの初期対応も参考にしてください。
保護者への説明や苦情への対応が必要になった場合は、個人で対応を続けず、教員の保護者クレーム対応|記録・校内連携・伝え方の手順も確認しましょう。
FAQ
Q1. いじめかどうか分からない段階でも報告してよいですか?
はい。いじめと断定できない段階でも、「相談があったこと」「本人が困っていること」「安全面」を校内で共有します。報告は、事実認定を一人で行うためではなく、必要な確認と支援を組織で進めるためです。
Q2. 相談者から「誰にも言わないで」と言われたらどうしますか?
秘密を守る気持ちは受け止めつつ、「あなたの安全を守るために、必要な先生と相談することがある」と説明します。共有範囲や伝え方は、相談者の不安を聞きながら、管理職や校内組織と確認してください。
Q3. 相手の児童生徒にもすぐ聞き取りをしてよいですか?
相手側への聞き取りは、相談者の安全、証拠や記録の保全、聞き取りの順序などを考慮し、校内で方針をそろえてから行います。担任が単独で問い詰めたり、相談者と同席させたりする前に、管理職や学校のいじめ対応組織へ相談してください。
まとめ
教員がいじめの相談を受けたときに優先するのは、次の4点です。
- 相談者の安全と当面の過ごし方を確認する。
- 相談者の言葉を尊重し、事実と推測を分けて記録する。
- いじめと断定できなくても、速やかに校内で共有する。
- 相手への聞き取り、保護者連絡、関係機関への相談は校内方針に沿って進める。
いじめ対応は、教員一人の力量だけで完結させるものではありません。相談を受けた時点で「聞く・守る・つなぐ・残す」を意識し、学校全体で子どもの安全を支えましょう。
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公式情報・参照先
更新日:2026年10月3日
著者:しょぼい園長/先生のぐち編集部


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