教員の個別支援計画の引き継ぎ|確認項目と伝え方

教員の悩み

結論:個別支援計画の引き継ぎは、「書類を渡す」だけでなく、支援の理由と次の一手まで共有することが大切です。

年度末や担任交代、通級担当の変更、進学時の引き継ぎでは、次の担当者が子どもの様子を具体的にイメージできる状態を目指します。本人・保護者の願い、現在の困りごと、効果があった支援、難しかった対応、今後の確認時期を整理しておくと、支援が途切れにくくなります。

なお、個別の教育支援計画や個別の指導計画の作成対象、様式、保護者への説明、校外への情報提供の手順は、学校・設置者・自治体の運用によって異なる場合があります。迷ったときは、管理職や特別支援教育コーディネーターに確認してください。

この記事の要点3つ

  • 支援内容だけでなく、背景と目的を伝える。「席を前にする」ではなく、「指示を聞き取りやすくし、取り組み開始までの負担を減らす」など、目的まで共有します。
  • うまくいった方法と、避けたい対応を分けて記録する。支援の成功例だけでなく、本人が困った反応や逆効果だった声かけも、事実ベースで残します。
  • 引き継ぎ後の確認日を決める。引き継いだ時点で完了ではなく、始業後や支援開始後に見直す日程まで決めておきます。

今日できる行動

  1. 担当している子どもごとに、現在の計画・記録・保護者との確認事項を一つの一覧にする。
  2. 「本人の願い」「困りごと」「有効だった支援」「避けたい対応」「次に試すこと」の5項目を、短い箇条書きで整理する。
  3. 管理職または特別支援教育コーディネーターに、引き継ぎ相手・方法・期限・保管場所を確認する。
  4. 引き継ぎ後の確認日を、学年会や校内委員会の予定に入れる。

個別の教育支援計画と個別の指導計画の違い

名称が似ているため、引き継ぎの際には「どの計画の話か」を最初に明確にします。文部科学省は、それぞれの趣旨や役割を踏まえた参考様式を示していますが、学校や地域の様式を妨げるものではないとしています。 ([mext.go.jp](https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/material/1340250_00005.htm?form=MG0AV3&utm_source=openai))

項目 個別の教育支援計画 個別の指導計画
主な視点 学校だけでなく、家庭・医療・福祉などを含めた支援のつながり 学校での学習・生活上の目標、指導内容、支援方法
引き継ぐ内容 本人・保護者の願い、関係機関の役割、合理的配慮の確認事項など 具体的な目標、授業中の手立て、評価、次の課題など
確認先 管理職、特別支援教育コーディネーター、保護者、関係機関との共有ルール 次の担任、教科担当、通級担当、学年・校内委員会

個別の教育支援計画は、本人や保護者の意向、将来の希望、関係機関の役割などを整理するためのツールとされています。引き継ぎでは、計画の文章をそのまま読むだけでなく、日々の場面でどう活用するかを確認しましょう。 ([mext.go.jp](https://www.mext.go.jp/content/20211014-mxt_tokubetu02-000018454_16.pdf?utm_source=openai))

教員向けの実務記事をもっと見る

引き継ぎチェックリスト

確認 項目 チェックの観点
□ 本人の願い 本人がどうなりたいと話しているか。いつ確認した内容か。
□ 保護者の願い 家庭での様子や学校に期待する支援を、事実と意見に分けて整理したか。
□ 現在の困りごと いつ、どの場面で、何が起きているかを具体化したか。
□ 有効だった支援 声かけ、座席、教材、見通しの示し方、休憩方法などを具体的に書いたか。
□ 避けたい対応 本人が混乱した声かけや、負担が大きかった環境を事実ベースで書いたか。
□ 本人の強み 得意な活動、関心、できるようになったことを記載したか。
□ 関係者 校内の担当者、保護者、関係機関との連絡・共有範囲を確認したか。
□ 個人情報の扱い 保管場所、閲覧できる人、校外提供の手順を学校のルールで確認したか。
□ 次の確認日 新年度のいつ、誰が、何を見直すか決めたか。

引き継ぎで伝える順番

口頭説明では、次の順番にすると、情報が多くなりすぎるのを防げます。

  1. まず本人の強みと願いを伝える。支援が必要な場面だけでなく、意欲が高まりやすい活動や得意なことから共有します。
  2. 次に困りごとを場面別に伝える。「落ち着きがない」ではなく、「予定変更を知らされないまま活動が始まると、着席まで時間がかかる」など、観察できる事実にします。
  3. その後に有効な支援を伝える。「事前に予定を示す」「最初の一手を短く伝える」など、担当者が再現できる形にします。
  4. 最後に未確認の点と次の確認日を伝える。まだ試していない支援や、保護者・本人に確認が必要な事項を分けて示します。

具体例:抽象的な引き継ぎを具体化する

避けたい伝え方 改善した伝え方
集中が続かない 一斉説明が長くなると手元の教材を触り始める。説明を2段階に分け、最初に「まずノートを開く」と伝えると開始しやすい。
予定変更が苦手 変更を直前に口頭だけで伝えると不安が強くなる。朝の予定表に変更箇所を示し、本人が確認する時間を設ける。
友達とのトラブルが多い 休み時間の遊び方をめぐり、相手の意図を確認しないまま強い言葉になることがある。事後に責めるのではなく、双方の話を順番に聞き、次回の言い方を一緒に考える。

診断名や印象だけで判断せず、実際の場面、本人の反応、支援後の変化を記録します。医療的な判断や診断に関する内容は、教員だけで断定せず、保護者・学校・関係機関の確認が必要です。

引き継ぎ資料を作るときの注意点

  • 「問題行動」「わがまま」など、評価的・決めつけ的な表現を避ける。
  • 本人や保護者の発言は、確認した日付を付けて記録する。
  • 支援方法は一つに固定せず、うまくいかなかった場合の代替案も考える。
  • 不要な個人情報を広げず、学校の情報管理規程に従って保管・共有する。
  • 引き継ぎ相手が不在の場合は、管理職やコーディネーターに相談し、複数の担当者で情報を確認する。

文部科学省の通級指導に関する実践例でも、個別の教育支援計画・個別の指導計画だけでなく、子どもの様子がイメージできるように伝えること、時間を取って引き継ぐことが示されています。 ([mext.go.jp](https://www.mext.go.jp/tsukyu-guide/chapter3/practice15.html?utm_source=openai))

関連する記事

保護者との面談で、本人の様子や支援方針を整理して伝えたい場合は、教員の個人面談準備|短時間で要点を整理する方法も参考になります。

学期末や年度末に学習面の変化を文章化する場合は、教員の通知表所見の書き方|事実・成長・次の一歩を伝える文例も活用できます。

よくある質問

Q1. 個別の教育支援計画は、担任が一人で作成・引き継ぎすればよいですか?

一人で抱え込まず、校内の担当者と役割を確認してください。学校によって、管理職、特別支援教育コーディネーター、学年主任、通級担当などの関わり方が異なります。保護者や関係機関との共有が必要な場合も、校内の手順に沿って進めます。

Q2. 以前の支援方法が、次の学年でもそのまま有効とは限りませんか?

限りません。学年、教科担任制、教室環境、本人の発達や体調などによって、必要な支援は変わる可能性があります。引き継いだ内容を参考にしながら、本人の様子を観察し、必要に応じて見直します。

Q3. 進学先や関係機関へ、計画をそのまま渡してよいですか?

一律には判断できません。本人・保護者への説明、同意、情報共有の範囲、文書の保管方法などについて、学校・自治体・関係機関のルールを確認してください。個人情報を含むため、個人判断でメール送信や私物端末への保存をしないことが重要です。

まとめ

教員の個別支援計画の引き継ぎでは、次の5点を押さえます。

  • 本人の願いと強みから伝える
  • 困りごとを場面・行動・反応で具体化する
  • 有効だった支援と避けたい対応を分ける
  • 情報共有の範囲と保管方法を確認する
  • 引き継ぎ後の見直し日を決める

計画の様式や運用に迷ったら、文部科学省の参考資料を確認したうえで、勤務校の管理職や特別支援教育コーディネーターに相談しましょう。

教員の仕事に役立つ確認手順・記録の型をもっと見る

公式情報・参照先

更新日:2026年9月24日
著者:しょぼい園長/先生のぐち編集部

コメント

タイトルとURLをコピーしました