結論:保育士を辞めたいのに子どもが気になるときは、すぐに退職を決めなくても大丈夫です。ただし、子どもを大切に思う気持ちだけで、あなたが限界まで耐え続ける必要もありません。まずは「今すぐ休む必要があるか」「職場の調整で続けられるか」「環境を変える時期か」を分けて考えましょう。
この記事の要点3つ
- 子どもが気になるのは、無責任だからではなく、保育士として真剣に向き合ってきたからかもしれません。
- 「辞める・続ける」の二択ではなく、休む、業務を減らす、相談する、異動や転職を検討する方法があります。
- 今日やることは、退職届を書くことではなく、体調と負担を書き出し、相談先を一つ決めることです。
「保育士を辞めたいけど子どもが気になる」とは
ここでいう「子どもが気になる」とは、担当している子どもの生活や成長、保護者との関係、引き継ぎ後の様子などが心配で、退職や休職をためらう状態です。
「自分がいなくなったら困る」「途中で投げ出すようで申し訳ない」「あの子を置いていけない」と感じることがあります。しかし、園の運営や人員配置を一人の保育士だけが背負うものではありません。子どもへの責任を考えるからこそ、無理を続けて保育の安全や自分の健康を損なわない視点も必要です。
子どもが気になるときに、まず整理したいこと
1. 今の状態は「頑張れば続けられる」のか
疲れているだけなのか、睡眠や食事が崩れているのか、出勤前から強い不安があるのかを分けて見ます。涙が止まらない、眠れない、食べられない、動悸が続く、消えてしまいたい気持ちがあるなどの場合は、勤務継続の判断より先に、医療機関や公的な相談窓口への相談を優先してください。診断や休職の可否は、医師や勤務先の制度を確認しながら決めます。
2. 子どもへの心配と、職場への不安を分ける
「子どもが心配」という気持ちの中に、実は「園長に退職を言えない」「同僚に責められそう」「引き継ぎが不安」といった職場への恐れが含まれていることがあります。
紙に次のように分けて書くと、問題の輪郭が見えやすくなります。
- 子どもについて心配なこと
- 保護者について心配なこと
- 同僚や管理職について不安なこと
- 自分の体調・気持ちで困っていること
- 本当はどうなれば少し楽になれるか
3. 「いなくなること」と「見捨てること」は同じではない
担当を離れることは、子どもを見捨てることと同じではありません。引き継ぎを行い、必要な情報を共有し、在職中にできる範囲の関わりをすることはできます。
反対に、心身が限界のまま勤務を続けると、声かけが荒くなったり、判断力が落ちたり、自分を責め続けたりする可能性があります。「自分が耐えればよい」と考え続けることが、必ずしも子どものためになるとは限りません。
心の声や違和感を無視しなくていい
「朝になると体が重い」「子どもは好きなのに園に行くのが怖い」「休みの日も仕事のことが離れない」という感覚は、単なる甘えではなく、負担が積み重なっているサインかもしれません。
違和感があるからといって、すぐに退職が正解とは限りません。ただ、その感覚を無視していると、選択肢を考える力まで失われることがあります。今の職場とのご縁を手放すかどうかを決める前に、まずは自分の心身に何が起きているのかを確認してみましょう。
休む・相談する・続ける・退職する・転職する比較表
| 選択肢 | 向いているかもしれない状態 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| 休む | 出勤が難しい、体調や気持ちの落ち込みが強い | 有給休暇、欠勤、休職などの制度や手続き。職場と医療機関へ確認 |
| 相談する | 負担を減らせば続けられる可能性がある | 誰なら話せるか、勤務時間・担当・人間関係の何を変えたいか |
| 続ける | つらさの原因が一時的で、具体的な改善策がある | 期限を決めて様子を見る。再び限界になったときの相談先も決める |
| 退職する | 職場環境そのものが合わず、改善の見込みが薄い | 雇用契約、就業規則、退職時期、引き継ぎ。個別の法律問題は公的窓口へ相談 |
| 転職する | 保育の仕事は続けたいが、今の園では難しい | 配置基準、休憩、残業、相談体制、園の雰囲気を確認。保育士・保育所支援センターも選択肢 |
制度の名称や利用条件は勤務先や雇用形態、自治体によって異なる場合があります。休職・退職・傷病に関する手続きは、就業規則、勤務先、人事担当、医師、公的相談窓口に確認してください。
具体例:子どもが気になって退職を迷う場合
例1:担任している子の発達が気になる
「自分が最後まで見なければ」と感じるかもしれません。まず、子どもの様子や配慮事項を記録し、主任や園長と共有します。退職や休職を考える場合も、子どもの情報を適切に引き継ぐ方法を相談できます。
例2:保護者との関係が心配
保護者への説明を一人で抱えず、管理職と伝える内容や時期をそろえます。あなたが退職を検討していることと、保護者対応を一人で完遂しなければならないことは別問題です。
例3:園の人手不足で辞められない
人手不足は個人だけで解決する問題ではありません。「迷惑をかけるから辞められない」と感じても、体調や雇用上の問題を含む場合は、園外の相談先を使う方法があります。厚生労働省の総合労働相談コーナーでは、労働問題について相談できます。
今日できる現実的な一歩
- 体調を3項目だけ記録する:睡眠、食事、出勤前の気持ちを簡単にメモします。
- 負担を一文にする:「子どもが心配」ではなく、「引き継ぎがないことが心配」「園長に話すのが怖い」など、具体化します。
- 相談相手を一人決める:主任、園長、家族、友人、医療機関、自治体の相談窓口などから選びます。
- 希望を一つ伝える:「今週は残業を減らしたい」「担当を一時的に調整できるか相談したい」など、退職以外の希望でも構いません。
- 期限を決める:今日結論を出すのではなく、「3日後にもう一度状態を確認する」と決めます。
誰にも話せず抱え込んでいる場合は、保育士が相談できないときの整理と伝え方も参考にしてください。
保育士の悩みを、ひとりで抱え込まないための相談先・転職情報を見る
FAQ
Q1. 子どもが気になるのに辞めるのは無責任ですか?
無責任とは限りません。子どもへの思いがあるからこそ、引き継ぎや相談を考えている状態です。心身が限界の場合は、勤務を続けることだけが責任の果たし方ではありません。
Q2. 退職を決めていなくても相談していいですか?
相談して構いません。「辞めるか迷っている」「今のまま続ける自信がない」と伝えるだけでも、状況整理につながります。退職を切り出すことが怖い場合は、保育士が退職を切り出せないときの整理も確認してください。
Q3. 転職すれば、子どもへの罪悪感はなくなりますか?
転職しても、すぐに気持ちが整理できるとは限りません。ただ、保育の仕事を続けながら、負担の少ない職場や相談しやすい園を探すことはできます。求人票だけで判断せず、休憩、残業、配置、研修、相談体制などを確認しましょう。こども家庭庁は、地域の保育士・保育所支援センターやハローワークを相談先として案内しています。
まとめ
保育士を辞めたいのに子どもが気になるのは、子どもを大切に思ってきたからこそ起こる迷いです。その気持ちを否定する必要はありません。
一方で、子どものためにあなたが限界まで耐える必要もありません。休む、相談する、続ける、退職する、転職する方法を、今の体調と職場の状況に合わせて選んでください。今日できる一歩は、気持ちを「子ども」「職場」「自分の体調」に分けて書き出し、相談相手を一人決めることです。
公式の相談先・確認先
- こども家庭庁:保育士・保育所支援センターやハローワークなどの連絡先:保育の仕事や求人・求職に関する地域の相談先を確認できます。
- 厚生労働省:総合労働相談コーナー:労働条件、いじめ・嫌がらせ、退職などの相談先を確認できます。
- 厚生労働省:こころの健康相談統一ダイヤル:地域の公的なこころの相談窓口につながる電話相談です。受付時間は地域によって異なります。
強い希死念慮や自分を傷つける危険がある場合は、一人にならず、身近な人や医療機関、地域の公的相談窓口へ早めに連絡してください。緊急性が高い場合は、地域の緊急窓口の利用を検討してください。
更新日:2026年10月14日
著者:しょぼい園長/先生のぐち編集部


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