結論:授業中にけがが起きたら、「安全確保・応援要請・事実の記録」を同時に進めます。担任や授業担当者だけで判断を抱え込まず、まず児童生徒の安全を確保し、養護教諭・管理職・近くの教職員へ連絡します。救急要請や受診の要否は、けがの状態、学校の危機管理マニュアル、校内の判断体制に従ってください。
文部科学省の「学校事故対応に関する指針 改訂版」では、事故発生後の対応だけでなく、学校内の役割分担、保護者への支援、記録や調査、再発防止までを含めた対応が示されています。現場では、事故後に慌てないよう、平時から自校の手順を確認しておくことが重要です。
この記事の要点3つ
- 最優先は授業の継続ではなく安全確保。周囲の児童生徒を安全な場所へ移し、けがをした本人の状態を確認します。
- 一人で対応しない。応援要請、養護教諭への連絡、管理職への報告、他の児童生徒の見守りを分担します。
- 記録は推測ではなく事実で残す。発生時刻、場所、活動内容、本人の訴え、実施した対応、連絡先と時刻を時系列で記録します。
授業中の「けが対応」とは
この記事でいうけが対応とは、授業中や休み時間、実習、体育、校外活動など、学校の教育活動中に児童生徒が負傷した際に行う初動から、校内共有、保護者連絡、記録、再発防止までの一連の対応です。
教員が診断や治療を行うものではありません。出血、意識、呼吸、強い痛み、頭部への衝撃などがある場合は、学校の手順に従い、養護教諭や管理職へ直ちに連絡します。緊急性が疑われる場合は、ためらわず119番通報を検討します。具体的な判断基準は地域や学校のマニュアルによって異なるため、勤務校の公式手順を確認してください。
今日できる3つの準備
- 職員室、保健室、管理職、AEDの場所と連絡方法を確認する。
- 自校の危機管理マニュアルで、「授業中のけが」「救急要請」「保護者連絡」「事故報告」の欄を読む。
- 紙や校務端末に、時系列で書ける記録欄を用意する。記憶だけで後から書かないよう、時刻を確認できる時計も意識する。
授業中のけが対応チェックリスト
| 段階 | 確認すること | 対応のポイント |
|---|---|---|
| 1. 発生直後 | 本人と周囲の安全 | 危険な器具・場所から離し、二次被害を防ぐ。周囲の児童生徒にも安全な行動を指示する。 |
| 2. 状態確認 | 意識・呼吸・出血・痛み・本人の訴え | 無理に立たせたり動かしたりせず、必要な応援を要請する。医療的な判断は専門職や救急機関につなぐ。 |
| 3. 校内連絡 | 養護教諭・管理職・学年主任など | 「いつ、どこで、何が起き、現在どういう状態か」を短く伝える。 |
| 4. 児童生徒対応 | 授業集団の安全と不安 | 別の教員に見守りを依頼し、現場を離れる場合は必ず引き継ぐ。 |
| 5. 保護者連絡 | 連絡担当者と伝える事実 | 学校の方針に従い、確認できた事実、本人の状態、実施した対応、今後の案内を伝える。 |
| 6. 記録 | 時系列と関係者 | 推測や評価を混ぜず、見たこと・聞いたこと・行ったことを分けて記録する。 |
| 7. 事後確認 | 校内共有と再発防止 | 管理職の指示に従い、必要な報告書やヒヤリハット、授業環境の見直しにつなげる。 |
状況別の初動を比較する
| 状況 | 現場で優先すること | 避けたい対応 |
|---|---|---|
| 軽い擦り傷などに見える | 安全な場所で状態を確認し、養護教諭・校内担当へ共有する。 | 「大したことはない」と教員だけで決め、記録や共有を省く。 |
| 頭部を打った、強い痛みを訴える | 無理に動かさず、直ちに応援を呼び、学校の手順で状態確認と連絡を行う。 | 本人の希望だけで授業へ戻す、症状を推測して断定する。 |
| 出血がある | 周囲の安全と衛生に配慮し、応援要請と必要な処置につなげる。 | 素手で対応する、使用物品を記録・処理せず放置する。 |
| 複数の児童生徒が関係する | けが人の安全確保と同時に、他の児童生徒の移動・見守りを分担する。 | 全員を一人で確認しようとして、誰も見守れない状態になる。 |
校内への報告で伝える型
電話や口頭報告は、次の順で整理すると伝達漏れを防ぎやすくなります。
- いつ:10時15分ごろ
- どこで:2年1組の教室、窓側の机付近
- 何をしていたか:理科の実験準備中
- 何が起きたか:器具を片付ける際に手をぶつけた
- 本人の状態:右手の痛みを訴えている、出血の有無など確認できた事実
- 実施したこと:活動を止め、安全な場所で待機、養護教諭へ連絡
- 依頼したいこと:状態確認、管理職への報告、保護者連絡の判断
記録の具体例
記録例:「10月6日10時15分、2年1組教室で理科の実験準備中、Aさんが机上の器具を片付ける際に右手を机の角にぶつけた。本人は『右手が痛い』と話した。10時17分、授業を中断し、担任がAさんを教室後方の安全な場所へ移動させた。10時18分、近くの教員にクラスの見守りを依頼し、養護教諭へ連絡した。出血の有無、本人の訴え、保護者連絡の時刻は別欄に記録した。」
「不注意だった」「大げさではない」「本人がふざけていた」など、原因や評価を断定する表現は、確認できた事実と分けて扱います。目撃者がいる場合も、誰が何を見たかを区別して記録しましょう。
保護者へ伝えるときの基本
保護者連絡は、学校の担当者や管理職の指示に従います。伝える内容は、確認できた事実、現在の状態、学校で行った対応、今後の受診・経過確認などです。医療機関の受診や費用、保険・災害共済給付に関する扱いは、学校設置者や担当窓口によって案内が異なる可能性があるため、教員個人で断定せず、公式の案内につなげます。
保護者への説明や問い合わせ対応の整理には、教員の保護者クレーム対応|記録・校内連携・伝え方の手順も参考になります。
関連する安全確認も見直す
体育、実験、実習、校外活動など、活動内容によって危険箇所や必要な見守りは変わります。校外活動の事前確認については、教員の校外学習引率チェックリスト|事前準備と当日の安全確認も活用してください。
FAQ
Q1. 軽いけがなら保護者への連絡は不要ですか?
A. 一律には決められません。学校の校内規程、管理職や養護教諭の判断、児童生徒の状態、保護者への連絡方針を確認してください。軽く見えても、後から症状が変化する可能性があるため、発生事実と対応内容は記録しておくのが基本です。
Q2. 授業中に教員が現場を離れてもよいですか?
A. 児童生徒全体の安全を確保できる体制を整えてからにします。近くの教職員へ見守りを依頼する、管理職や学年主任に応援を求めるなど、引き継ぎなしで現場を離れないようにしてください。
Q3. 救急車を呼ぶか迷ったときはどうすればよいですか?
A. 迷う場合は、一人で判断せず、学校の危機管理マニュアルに従って管理職・養護教諭へ連絡します。緊急性が疑われる場合や、意識・呼吸などに異常がある場合は、学校の手順に沿って119番通報を行います。症状の判断や応急手当の詳細は、消防・医療機関などの公式案内を確認してください。
まとめ
授業中のけが対応は、教員の経験や勘だけで進めるものではありません。安全確保、応援要請、事実の記録を基本に、養護教諭・管理職・保護者・必要な関係機関へつなぎます。
今日できる準備は、①自校の危機管理マニュアルを読む、②応援要請先とAEDの場所を確認する、③記録の型を用意する、の3つです。学校ごとに手順や報告様式が異なるため、最終的には勤務校と設置者の公式ルールを優先してください。
公式参照欄
更新日:2026年10月6日
著者:しょぼい園長/先生のぐち編集部


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