保護者から電話で苦情を受けた保育士へ|その場で約束せず園内共有する手順

保護者から電話で苦情を受けると、早く納得してもらおうとして、その場で謝罪や改善を約束したくなることがあります。けれど、事実確認や園としての判断が必要な内容まで、担任一人で即答する必要はありません。

電話中は、話を遮らず要望と確認事項を分け、答えられないことは「園内で確認してからお返事します」と伝えましょう。通話後は内容と保護者の希望を記録し、園の手順に沿って責任者へ共有します。

電話中に意識する要点は3つ

  • まず受け止める:「ご心配をおかけしているのですね」と、保護者の困りごとを確認する。
  • 事実と要望を分ける:いつ、何があったかと、園に何を求めているかを別々に聞く。
  • その場で結論を急がない:確認が必要な内容は持ち帰り、園内で共有してから回答する。

保育所保育指針は、保護者の苦情などに対して解決を図るよう努めることを示しています。厚生労働省の苦情解決の指針では、受付担当者が苦情の内容や利用者の意向を確認・記録し、責任者などへ報告する役割が示されています。個々の園で決められた窓口や手順を優先してください。

電話での苦情は「園への要望や不満の申し出」

この記事では、保育内容や連絡、職員の対応などについて、保護者から電話で寄せられた不満・改善要望を「苦情」と呼びます。苦情があったことだけで、保護者を不当な要求をする人と決めつけないことが大切です。内容を確認し、通常の相談・要望として受け止める場面と、職員の安全確保や管理職の対応が必要な場面を分けて考えます。

一方で、暴言や脅し、長時間にわたる応答の強要などがある場合は、担任だけで抱えず、園の対応方針に沿って管理職へ交代・共有します。正当な相談と、職員の安全に関わる言動を同じものとして扱わないようにしましょう。

保護者から電話を受けたときの進め方

1. 名乗りと用件を確認する

「お電話ありがとうございます。〇〇組の△△です。今日はどのようなことでお困りでしょうか」と落ち着いて確認します。すぐに担当者が対応できない場合は、折り返し先と都合のよい時間を聞き、園内の引き継ぎ方法に従います。

2. 話を聞き、要点を言い換えて確かめる

途中で説明や反論を挟まず、まず保護者が気にしていることを聞きます。聞き終えたら、理解した内容を短く返して確認します。

例:「昨日のお迎えの際、担任からの説明がなく、お子さんの様子が分からなかったということですね。園に説明と今後の対応を求めていらっしゃる、と受け止めました。合っていますか。」

保護者の認識と園で確認できた事実が違う場合も、電話中に「それは違います」と言い切らず、双方の説明を記録して確認します。

3. 今答えられることと、確認が必要なことを分ける

その場で確認できる事実は、把握している範囲で簡潔に答えます。記憶が曖昧なこと、他の職員への聞き取りが必要なこと、園としての判断が必要なことは、推測で補わないようにします。

返答例:「今のお話は、園での状況を確認してからお答えしたい内容です。私一人で判断せず、園長にも共有します。確認後の連絡方法と時間の目安を、園内で確認してお伝えします。」

折り返し時刻は、園内で確認できる範囲で伝えます。確認前に「今日中に必ず解決します」など、実現できるか分からない約束はしません。

4. 通話を終える前に、次の連絡方法を確認する

「確認する内容」「園内で共有する相手」「次に連絡する方法」を簡潔に伝えます。折り返し時刻を確定できない場合は、確認後にいつまでに連絡するかを園内で調整し、保護者にもその予定を説明します。園に定められた回答期限がある場合は、それに従ってください。

そのまま使える返答例

場面 返答例
話を聞き始める 「ご不安だったことを確認したいので、まず状況を伺ってもよろしいでしょうか。」
要望を確認する 「園に確認してほしい点は、〇〇という理解で合っていますか。」
その場で回答できない 「担当職員への確認が必要なため、今ここで断定せず、園内で確認してからお返事します。」
担任だけでは対応できない 「園として確認する内容ですので、園長にも共有して対応します。」
強い口調が続く 「お話の内容は確認します。落ち着いて確認できるよう、園長と一緒に改めてお話しする機会を調整させてください。」

例文は状況に合わせて調整してください。謝意を示す場合も、まだ確認できていない事実について責任や原因を断定するのではなく、「ご心配をおかけしていることを受け止めています」のように、心配をかけている状況への配慮と事実確認を分けて伝えます。

保護者からの要望にどう返すか迷うときは、断る場合の伝え方や記録の考え方も整理しておくと役立ちます。保育士の保護者要望への対応|断り方と記録の手順も参考にしてください。

保育士の保護者対応や園での悩みに関する記事を確認する

電話の後に使える記録テンプレート

電話を切ったら、記憶が新しいうちに、評価や推測を混ぜずに記録します。園で指定された書式があれば、そちらを優先してください。

記録項目 記入する内容
受付日時・対応者 年月日、開始・終了時刻、電話を受けた職員
申し出の内容 保護者が伝えた出来事。可能な限り具体的な言葉と状況
確認できた事実 電話時点で把握していること。未確認の点は未確認と記載
保護者の要望 説明希望、確認希望、今後の改善希望など。内容を分けて記載
その場で伝えたこと 回答した内容、持ち帰った確認事項、伝えた連絡方法
園内共有・次の対応 共有先、確認担当、次に行うこと、連絡予定

記入例:「11月5日 16:10、母より電話。前日の降園時に子どもの様子の説明がなかったとの申し出。園に状況確認と説明を希望。担任は当日の職員間の共有状況を未確認のため、園長へ共有して確認後に連絡すると伝えた。」

「怒っていた」「神経質」などの評価語ではなく、声の大きさや発言内容など、対応に必要な事実を記録します。記録の保管場所や共有範囲は、園の個人情報管理ルールに従ってください。

園長・主任へすぐ共有したい目安

  • けが、体調、安全管理、子どもの権利に関わる申し出がある。
  • 職員の説明や対応について、事実確認や園としての回答が必要。
  • 保護者が担任以外への対応や、正式な苦情受付を希望している。
  • 暴言、脅し、執拗な連絡など、職員一人で対応を続けるのが難しい。
  • 他の子どもや家庭に関する情報を求められた。

急な安全上の懸念がある場合は、記録を整えることより、子どもの安全確保と園内への即時連絡を優先します。苦情解決の受付担当や責任者、第三者委員などの体制は園ごとに異なります。園の規程・マニュアルを確認し、担任だけで回答方針を決めないようにしましょう。

保護者面談に切り替えるとき

電話だけでは行き違いが続く場合や、複数の職員から確認が必要な場合は、管理職と相談して面談を設定する方法があります。面談では、確認した事実、まだ分からない点、保護者の要望、園が対応できることを分けて準備します。

面談の進行や事前準備は、保育士の保護者面談の進め方|準備・質問・記録のコツで確認できます。電話の内容を改めて最初から話してもらう負担を避けるため、本人の了承や園のルールを踏まえ、記録を適切に引き継ぎましょう。

よくある質問

電話の最初に謝罪したほうがよいですか?

不安や不便を感じていることへの配慮は伝えられます。ただし、事実関係を確認する前に、原因や責任まで認める表現を使うのは避け、園の方針に沿って対応してください。「ご心配をおかけしていることを受け止めています。状況を確認します」のように、気持ちへの配慮と事実確認を分けて伝える方法があります。

保護者の話が長く、電話を切れないときはどうしますか?

話を遮って終わらせるのではなく、要点を整理して確認します。それでも通話を続けるのが難しい場合は、「確認事項を整理し、園長と共有してから改めてご連絡します」と伝え、園内の手順に従って管理職へつなぎます。威圧や脅しがある場合は、職員の安全を優先し、一人で対応を続けないでください。

折り返しの時間は電話中に約束すべきですか?

園内で対応可能か確認できる時間だけを伝えます。確認できない場合は、その場で時刻を断定せず、「確認後、園から連絡する時間の目安をお伝えします」など、次の連絡方法を先に説明します。園の苦情対応ルールに期限が定められていれば、その手順に従ってください。

次に確認すること

  • 園の苦情受付担当者・責任者と、担任から共有する方法を確認する。
  • 電話後に使う記録様式と保管場所を確認する。
  • 折り返しの連絡を誰が担当し、どのように記録するかを管理職と決める。

一件の申し出を担任一人で解決しようとせず、保護者の話を受け止めたうえで、事実確認と園内共有を進めましょう。園の手順が分からないときは、園長・主任に確認してから対応してください。

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参照した公式資料

※実際の対応は、園の苦情解決規程・個人情報管理ルール・自治体の案内を確認してください。

更新日:2026年11月5日
著者:しょぼい園長/先生のぐち編集部

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