結論:保育園の不審者対応は、保育士一人の判断や勇気に頼るのではなく、「発見した人が知らせる」「子どもを危険から遠ざける」「園内で情報を統一する」という役割を事前に決めておくことが基本です。
不審者への対応方法は、園の立地、門や出入口の構造、職員数、自治体の指導、警察との連携状況によって異なります。この記事は一般的な整理です。実際には、園の危機管理マニュアル、自治体の通知、所轄警察署の助言を優先してください。
保育士が押さえる要点3つ
- 子どもの安全確保を最優先にする
不審者の確認や説得に時間を使いすぎず、子どもを安全な部屋や動線へ移動させます。 - 合図と役割を固定する
「誰が通報するか」「誰が施錠するか」「誰が人数確認をするか」を、勤務形態にかかわらず確認します。 - 訓練後は設備と手順を直す
訓練の目的は実施回数を増やすことではなく、死角、連絡手段、避難先、点呼方法の不備を見つけることです。
今日できる行動
- 園の不審者対応マニュアルを読み、緊急時の合図を1つ確認する
- 自分のクラスから移動できる安全な場所を2か所確認する
- 内線、携帯電話、防犯ブザー、通報装置の場所と使用方法を確認する
- 担任不在時に、誰が子どもの人数確認をするか主任へ聞く
- 門、玄関、保育室の窓など、外部から入りやすい場所を1か所点検する
不審者対応の定義
この記事でいう「不審者対応」とは、園の関係者かどうか確認できない人、許可なく敷地や建物に入ろうとする人、職員の声かけに応じず子どもへ近づこうとする人などに対して、子どもの安全を確保しながら園として対応することです。
服装や外見だけで「不審者」と決めつけるのではなく、許可のない立ち入り、説明と行動の不一致、子どもへの接近、退去要請への反応など、具体的な状況で判断します。判断に迷う場合は、単独で抱え込まず、管理者や他の職員へ知らせます。
不審者を見かけたときの初動手順
1. 子どもと自分の位置を安全にする
不審者へ近づく前に、担当している子どもを集め、必要に応じて保育室の奥や別室などへ移動します。移動先は、園の構造とマニュアルに沿って決めてください。子どもを置いて確認に行ったり、クラスを無人にしたりしないことが重要です。
2. 園内へ合図を送る
大声、内線、防犯ブザー、緊急ボタンなど、園で定めた方法を使います。合図の言葉が曖昧だと、通常の来客対応と誤解される可能性があります。「不審者です」など、職員が緊急事態だと理解できる表現を決めておきます。
3. 通報・連絡を分担する
管理者への報告、必要な通報、他クラスへの連絡、保護者への連絡は、できるだけ別の職員が担当します。緊急時の通報先や連絡順は、園のマニュアルと地域の指示を確認してください。危険が差し迫っている場合は、園内での相談を優先しすぎないようにします。
4. 子どもの人数と所在を確認する
「全員いるはず」ではなく、名簿や出席状況を使って確認します。保育室、トイレ、園庭、職員室、移動中の子どもなど、見落としやすい場所を含めて確認し、確認者と時刻を記録します。
5. 事後に記録と振り返りを行う
発生時刻、場所、相手の行動、職員の対応、子どもの移動、通報や連絡の時刻を、推測と事実を分けて記録します。負傷や強い不安が見られる子どもがいる場合は、園の手順に従って管理者、保護者、必要な関係機関へ相談してください。
役割分担の比較表
| 役割 | 主な担当 | 確認すること |
|---|---|---|
| 発見・第一報 | 最初に異変へ気づいた職員 | 場所、相手の行動、子どもとの距離を短く伝える |
| 子どもの誘導 | 各クラス担任・補助職員 | 人数確認、安全な場所への移動、扉や窓の確認 |
| 園内連絡 | 主任・管理者または指定職員 | 職員への合図、対応方針の統一、情報の整理 |
| 外部連絡 | 管理者または指定職員 | 必要な通報、自治体や関係機関への連絡、保護者連絡 |
| 記録 | 指定職員 | 事実、時刻、対応者、子どもの状態、今後の改善点 |
職員が少ない時間帯や早朝・延長保育では、1人が複数の役割を担当する場合があります。その場合も、優先順位を「子どもの安全確保→園内への周知→通報・連絡→記録」として、勤務体制に合わせた簡易手順を用意しておくと迷いにくくなります。
日常の防犯チェックリスト
- 玄関や門の施錠・開錠ルールが職員間で統一されている
- 来訪者の確認方法が決まっている
- 来訪者用のインターホンや受付記録を確認できる
- 園庭、門、駐車場、倉庫などの死角を定期的に点検している
- 保育室から避難できる別経路が確認されている
- 防犯ブザー、携帯電話、内線の電池や動作を確認している
- 職員が緊急時の合図を知っている
- 子どもの人数確認に使う名簿や点呼方法が決まっている
- 欠勤者がいる場合の代替担当が決まっている
- 訓練後に改善点をマニュアルへ反映している
こども家庭庁は、保育中の事故に備えた危険箇所の点検や訓練、不審者等の侵入防止のための措置・訓練について示しています。園の安全計画や危機管理マニュアルと照らし合わせて、実際の設備に合う形で確認しましょう。
訓練の具体例
例:玄関付近に見慣れない人がいる想定
- 職員Aが玄関付近の状況を確認し、決められた合図で職員へ知らせる
- 職員Bが玄関から離れたクラスへ子どもを移動させる
- 各クラスが人数を確認し、主任へ報告する
- 職員Cが園内の連絡と必要な外部連絡を担当する
- 管理者が状況を整理し、職員へ次の行動を伝える
- 終了後、移動にかかった時間、聞こえなかった合図、点呼の漏れを確認する
訓練では、相手役を過度に刺激する演出や、子どもに強い恐怖を与える方法は避けます。年齢や発達に応じて、子どもには「先生の合図を聞いて、安全な場所へ移動する」など、必要な行動を落ち着いて伝えます。
よくある質問
Q1. 保育士が不審者を直接止めるべきですか?
一律に決めることはできません。子どもの安全を最優先にし、園のマニュアルや管理者の指示に従ってください。危険がある場合、保育士が単独で接近したり、無理に取り押さえたりすることは避け、子どもを遠ざけ、周囲へ知らせ、必要な通報につなげます。
Q2. 保護者や宅配業者など、見慣れない人への声かけはどうしますか?
相手の外見ではなく、来訪目的と入園許可の有無を確認します。「どちらへご用でしょうか」「受付で確認します」など、園のルールに沿って対応します。職員個人の判断で園内へ案内せず、訪問記録や入退室の方法も確認しておきましょう。
Q3. 不審者対応訓練はどのくらい実施すればよいですか?
実施頻度や方法は、施設種別、自治体の指導、園の安全計画によって異なります。国の資料は不審者等の侵入防止措置や訓練の必要性を示していますが、具体的な回数は園の状況によって変わります。園長、自治体、所轄警察署などに確認し、時間帯や職員配置を変えた訓練も検討してください。
まとめ
保育士の不審者対応で大切なのは、次の5点です。
- 子どもを危険から遠ざける
- 決められた合図で園内へ知らせる
- 通報、誘導、人数確認、記録を分担する
- 外見ではなく具体的な行動と状況で判断する
- 訓練後に設備・動線・連絡方法を見直す
安全対策は、マニュアルを作るだけでは機能しません。早番、遅番、延長保育、職員欠勤時など、実際の勤務体制で動けるかを確認し、無理のある手順を少しずつ修正していきましょう。
参考資料
- こども家庭庁:教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン
- こども家庭庁:認可外保育施設における安全計画の策定に関する留意事項等について
- 文部科学省:幼稚園施設整備指針・防犯計画
更新日:2026年10月3日|著者:しょぼい園長/先生のぐち編集部


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