結論:保育中に子どもがけいれんしたら、原因を推測するよりも「安全確保→時間と状態の観察→必要時の119番通報→園内共有・保護者連絡」を優先します。
けいれんが止まらない、止まっても意識が戻らない、呼吸が苦しそう、顔色が悪い、頭を打った後に起きたといった場合は、救急要請をためらわない判断が必要です。保育士だけで病名や重症度を判断せず、施設の緊急時マニュアルや主治医の指示、消防・自治体の案内に従いましょう。総務省消防庁も、けいれんが続く、またはけいれん後に意識が戻らない場合を119番通報の目安として示しています。([fdma.go.jp](https://www.fdma.go.jp/laws/tutatsu/items/804b3720c39af58d6dfea787400048b215e3d69e.pdf?utm_source=openai))
この記事の要点3つ
- 子どもの周囲から危険物を除き、無理に押さえつけない。口に物を入れたり、飲食物や薬を与えたりしない。
- 発作の開始時刻、続いた時間、呼びかけへの反応、呼吸、顔色を観察する。可能なら別の職員が記録する。
- 救急要請と連絡を同時並行で進める。一人で対応を抱え込まず、役割を分担する。
今日できる行動
- 園の「けいれん・意識障害」対応マニュアルの保管場所を確認する。
- 119番、園長・主任、看護師、保護者の連絡順を職員室や救護用品の近くに掲示する。
- 既往歴のある子どもについて、保護者から受け取った主治医の指示や緊急連絡先を確認する。
- 時計、連絡先一覧、記録用紙、筆記具をすぐ使える場所にまとめる。
- 職員会議や短時間の訓練で、「子どものそば」「119番」「他児の見守り」「保護者連絡」「記録」の担当を決める。
けいれんとは?保育士が知っておきたい定義
けいれんは、本人の意思とは関係なく、手足や体がガクガク動いたり、体が硬くなったりする状態を指す一般的な表現です。意識がぼんやりする、呼びかけに反応しにくいなどの変化を伴うこともあります。
ただし、けいれんの原因には発熱、てんかん、頭部のけが、誤飲など複数の可能性があり、保育士がその場で原因を特定することはできません。見た目だけで「熱性けいれん」「てんかん発作」などと断定せず、観察した事実を記録して医療機関や保護者に伝えます。
けいれんが起きたときの初動手順
1. 子どもの安全を確保する
- 床などの安全な場所で、周囲の机・椅子・玩具などを離す。
- 頭の下にタオルなどを置き、頭をぶつけないようにする。
- 衣服の首元などをゆるめ、呼吸を妨げるものがないか確認する。
- 階段、窓際、水場、遊具の上など危険な場所にいる場合は、可能な範囲で安全な場所へ移す。
体を強く押さえつける、揺さぶる、口の中に指や物を入れる、無理に水や薬を飲ませるといった対応は避けます。具体的な応急手当は、こども家庭庁や消防の公式案内、施設の研修内容に従ってください。
2. 時間と状態を観察する
けいれんが始まった時刻を確認し、次の内容を観察します。
- けいれんが始まった時刻と、止まった時刻
- 体のどの部分が動いているか、体が硬くなっているか
- 呼びかけへの反応があるか
- 呼吸の様子、顔色、唇の色
- 発熱の有無、転倒や頭部打撲の有無
- けいれんを繰り返していないか
- けいれんが止まった後に、意識や反応が戻っているか
観察は一人で行わず、可能なら別の職員に時計や記録を担当してもらいます。動画撮影は、子どもの安全確保と園の個人情報管理に支障がない場合に限り、施設のルールを優先してください。
3. 119番通報を検討する
次のような場合は、救急要請を優先します。
- けいれんが止まらない
- けいれんが止まっても意識や反応が戻らない
- 呼吸が苦しそう、呼吸が弱い、顔色や唇の色が悪い
- 頭を強く打った後にけいれんが起きた
- 水中や高所などで事故が起きた後にけいれんした
- 誤飲や窒息が疑われる
- いつもと明らかに様子が違い、判断に迷う
119番では、施設の住所、子どもの年齢、けいれんの開始時刻、現在の意識・呼吸・顔色、けがや発熱の有無を伝えます。指令員の質問に従い、救急隊が到着するまで子どもの状態を観察します。消防庁は、119番通報の際に指令員が必要な情報を順番に確認すると案内しています。([fdma.go.jp](https://www.fdma.go.jp/mission/enrichment/kyukyumusen_kinkyutuhou/119.html?utm_source=openai))
4. 園内共有と保護者連絡を行う
救急要請の有無にかかわらず、園長・主任・看護師などへ速やかに共有します。保護者には、診断名を断定せず、次のように事実を伝えます。
「本日10時15分ごろ、室内で体が約1分間硬くなる様子がありました。現在は呼びかけに反応がありますが、園長と看護師で状態を確認しています。これまでの経過をお伝えしますので、連絡をお願いします。」
救急搬送となった場合は、搬送先や同行者、保護者との合流方法を園の規定に沿って確認します。保護者への連絡順や連絡方法は施設ごとに異なるため、あらかじめ決めておくことが重要です。
救急要請を優先するケースと園内確認を急ぐケース
| 状況 | 優先する対応 | 確認・記録すること |
|---|---|---|
| けいれんが続いている | 119番通報、子どもの安全確保 | 開始時刻、経過、呼吸、顔色 |
| けいれん後も反応が戻らない | 119番通報、状態観察 | 呼びかけへの反応、呼吸状態 |
| 呼吸が苦しそう、顔色が悪い | 119番通報を優先 | 唇の色、呼吸の様子、変化 |
| 短時間で止まり、反応も戻った | 園長・看護師へ共有し、保護者へ連絡 | 発作の時間、発熱、直前の活動 |
| 既往歴があり、主治医の指示がある | 指示書と園の手順を確認 | 指示内容、実施者、実施時刻 |
表は一般的な整理であり、救急要請の要否を最終的に決める診断表ではありません。自治体、医療機関、施設のマニュアルで異なる場合は、より安全側の手順を採用してください。
観察・連絡・記録チェックリスト
- □ 子どもの周囲から危険物を除いた
- □ 発作の開始時刻を確認した
- □ けいれんの持続時間を確認した
- □ 呼吸、顔色、唇の色を確認した
- □ 呼びかけへの反応を確認した
- □ 発熱、転倒、頭部打撲、誤飲の可能性を確認した
- □ 119番通報の要否を判断し、必要時は通報した
- □ 園長・主任・看護師などへ共有した
- □ 保護者へ事実ベースで連絡した
- □ 対応者、時刻、観察内容、連絡内容を記録した
- □ 事後に職員間で対応を振り返り、手順を見直した
記録は「けいれんした」とだけ書かず、「10時15分、床に座っていた子どもの両手が震え、呼びかけへの反応が弱かった。10時16分に動きが止まり、10時18分に名前を呼ぶと目を開けた」のように、見た事実と時刻を分けて書きます。事故や医療機関受診につながった場合の報告方法は、園の規程や自治体の案内を確認してください。
具体例:短時間で止まったように見える場合
午前の自由遊び中、3歳児が突然体を硬くし、手足を小刻みに動かしました。保育士Aは周囲の玩具を離し、子どもの頭を守ります。保育士Bは時計を見て開始時刻を記録し、呼吸と顔色を観察します。園長は保護者への連絡準備を行い、看護師がいれば状態を確認します。
約1分後に動きが止まり、呼びかけへの反応が戻ったとしても、「短かったから大丈夫」と決めつけません。発熱、直前の転倒、既往歴、主治医の指示を確認し、園の手順に沿って保護者へ連絡します。反応が戻らない、呼吸や顔色に異常がある場合は、時間の長短にかかわらず119番通報を優先します。
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FAQ
Q1. けいれん中に子どもを押さえてもよいですか?
転倒や頭部打撲を防ぐために周囲の危険物を除くことは必要ですが、体を強く押さえつけることは避けます。無理に動きを止めようとせず、安全な姿勢と周囲の環境を整え、呼吸や顔色、時間を観察してください。施設の研修や公式の応急手当手順を確認しましょう。
Q2. けいれんが止まったら、保護者への連絡だけでよいですか?
止まったことだけで対応を終えないでください。意識が戻っているか、呼吸や顔色に異常がないか、発熱・けが・誤飲の可能性がないかを確認し、園内で共有します。保護者への連絡方法や受診の判断は、施設のマニュアル、主治医の指示、地域の医療機関の案内に従ってください。
Q3. 既往歴のある子どもに薬を使ってもよいですか?
保護者から預かった薬があっても、保育士が独自に判断して使用してはいけません。医師の指示書、保護者との合意、施設の投薬手順、自治体や関係機関の通知を確認してください。薬の種類や投与方法によって扱いが異なるため、ここで一律に「使用できる」とは断定できません。
まとめ
保育中のけいれん対応で大切なのは、病名を当てることではなく、子どもの安全を確保し、開始時刻と状態を観察し、必要な場合に速やかに救急要請することです。
- 安全確保と観察を最優先にする
- けいれんの時間、呼吸、顔色、意識を記録する
- 救急要請、園内共有、保護者連絡を役割分担して行う
- 既往歴や投薬については、主治医の指示と施設の手順を確認する
対応後は、記録を残して終わりにせず、職員間で「誰が何をするか」「連絡先は最新か」「必要な物品はそろっているか」を振り返りましょう。
更新日:2026年10月4日
著者:しょぼい園長/先生のぐち編集部
※この記事は一般的な情報整理を目的としたもので、診断や個別の医療判断を行うものではありません。緊急時は119番、迷う場合は地域の救急相談窓口や医療機関、施設の責任者に確認してください。


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