結論:災害時の引き渡しは、「子どもの安全確保」→「引き渡し相手の確認」→「時刻と相手の記録」の順で進めます。保護者が来園しても、焦って名前だけで判断せず、園の名簿や登録情報、本人確認の方法を照合してください。引き渡しの可否に迷う場合は、独断で決めず、施設長や自治体の指示を確認します。
保育所保育指針では、災害時に保護者への連絡と子どもの引き渡しを円滑に行えるよう、日頃から連絡体制や引き渡し方法を確認しておくことが示されています。保育所保育指針解説も確認しておきましょう。
この記事の要点3つ
- 引き渡し前に、子どもの所在と安全を確定する:避難場所、クラス、人数を職員間で共有します。
- 相手の氏名だけでなく、登録情報と本人確認方法を照合する:代理人の場合は、事前登録の有無や園の規定を確認します。
- 引き渡した事実をその場で記録する:子どもの名前、日時、相手、確認方法、担当者を残します。
今日できる行動
- 園の防災マニュアルから「引き渡し場所」「責任者」「代理人の扱い」を確認する。
- クラス名簿に、緊急連絡先・引き渡し対象者・本人確認方法の欄があるか確認する。
- 引き渡し記録の記入例を1件作り、職員間で表記をそろえる。
- 「登録のない親族が来た場合」「連絡がつかない場合」の相談先を確認する。
災害時の「引き渡し」とは
この記事でいう災害時の引き渡しとは、地震、風水害、火災などで通常保育の継続が難しくなった際、園が安全を確保している子どもを、園の定めた手順に沿って保護者または認められた代理人へ渡すことです。
災害の種類、避難場所、交通状況、園舎の被害によって対応は変わります。法律上の一律の運用として扱わず、園のマニュアル、自治体の防災情報、施設長の判断を優先してください。
基本手順:引き渡しは5段階で整理する
1. 子どもの安全と所在を確認する
避難場所や待機場所で、クラスごとの人数、欠席者、職員配置を確認します。引き渡し対応を始める前に、誰がどこにいるかを確定させます。
2. 保護者への連絡状況を整理する
一斉連絡の送信時刻、未達、返信の有無、電話がつながったかを記録します。複数の職員が別々に連絡すると情報が混乱しやすいため、連絡担当を決めます。
3. 引き渡し相手を照合する
氏名、子どもとの関係、登録情報、園が定めた本人確認方法を確認します。代理人の場合は、事前登録や保護者からの連絡の有無を確認し、判断に迷えば責任者へ相談します。
4. 子どもの状態を簡潔に伝える
けが、体調変化、服薬、持ち物、避難先での様子など、必要な事実を伝えます。推測や責任追及ではなく、確認できた内容を簡潔に共有します。
5. 引き渡し記録を残す
記録は後からまとめて書かず、引き渡し直後に記入します。記載方法や保管場所は園の様式に従い、個人情報が第三者から見えないように管理します。
保護者本人と代理人で何が違う?
| 項目 | 保護者本人 | 代理人・親族など |
|---|---|---|
| 確認すること | 氏名、登録情報、園の本人確認方法 | 氏名、子どもとの関係、事前登録、保護者からの連絡 |
| 迷った場合 | 責任者へ報告し、園の手順で判断 | 独断で引き渡さず、責任者や保護者に確認 |
| 記録 | 日時、氏名、確認方法、担当者 | 上記に加え、代理人であること、確認経路 |
代理人の扱いは、園の規程や自治体の運用によって異なる場合があります。「家族だから渡してよい」と一律に判断せず、登録状況と園のルールを確認してください。
引き渡しチェックリスト
- □ 子どもの避難場所とクラス人数を確認した
- □ 引き渡し対象者の名簿を準備した
- □ 保護者への連絡状況を記録した
- □ 来園者の氏名と子どもとの関係を確認した
- □ 園が定めた本人確認を行った
- □ 代理人の場合、登録または保護者からの連絡を確認した
- □ 子どもの体調・けが・持ち物を必要な範囲で伝えた
- □ 引き渡し日時、相手、確認方法、担当者を記録した
- □ 引き渡し後の子どもの人数を更新した
- □ 判断に迷ったケースを責任者へ報告した
具体例:登録のない祖父が来園した場合
祖父が来園し、「保護者から頼まれた」と申し出たとします。この場合、まず子どもの安全を確保したまま、祖父の氏名と子どもとの関係を確認します。次に、登録された代理人か、保護者から園への連絡があるかを確認します。
登録がなく、保護者にも連絡がつかない場合は、職員個人の判断で引き渡さず、施設長などの責任者へ報告します。引き渡さない場合も、相手を責めるのではなく、「園の確認手順に沿って対応しています」と説明し、対応内容を記録します。
園内の安全確認や職員間の役割分担も見直したい方は、保育士の避難訓練チェックリストも参考にしてください。
FAQ
Q1. 本人確認書類がない保護者には引き渡せませんか?
一律には判断できません。園が定めている本人確認方法や、災害時の臨時運用を確認してください。確認できない場合は、子どもの安全を確保したうえで、責任者へ相談します。
Q2. 保護者から電話で「親族に迎えを頼んだ」と言われたら、すぐ渡してよいですか?
園の規程に従います。電話の記録、相手の氏名、代理人との関係、本人確認方法を確認し、必要に応じて責任者が判断します。連絡手段や確認項目をあらかじめ決めておくと、現場で迷いにくくなります。
Q3. 引き渡し後に記録を修正したい場合はどうしますか?
園の記録ルールに従い、元の記載を消去せず、訂正日時・訂正者・訂正理由が分かる形で修正します。電子記録の場合も、履歴が残る方法や管理者への報告方法を確認してください。
まとめ
災害時の引き渡しで大切なのは、次の3点です。
- 子どもの所在と安全を先に確定する
- 保護者・代理人を登録情報と園の手順で確認する
- 引き渡しの事実と判断経過をその場で記録する
引き渡しのルールは、施設形態や自治体の防災計画によって異なります。この記事のチェック項目をたたき台にして、園のマニュアル、連絡網、名簿、記録様式を一度に確認してみてください。
参考にした公式情報
※災害時の具体的な運用、避難場所、連絡方法、代理人の扱いは園や自治体によって異なります。必ず所属園の最新マニュアル、自治体からの通知、施設長の指示を確認してください。
更新日:2026年10月2日
著者:しょぼい園長/先生のぐち編集部


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