保護者から「担当の職員を替えてほしい」と言われると、その場で交代を約束すべきか、要望を断るべきか迷うものです。まずは希望の理由と子どもへの影響を聞き取り、即答は避けて管理者へ共有し、必要なら安全確保のための暫定対応と担当変更の判断を分けて進めます。
この記事の要点は3つです。
- 担当交代の要望は、職員個人への評価だけでなく、子どもの安全・安心や支援上の困りごとを伝える申し出として確認する。
- 現場職員だけで交代や処分を約束せず、まず事実・希望・緊急性を整理して管理者に共有する。
- 子どもに差し迫った危険や強い不安が見られる場合は、交代の最終判断を待つ間も、管理者と相談して安全を優先した暫定対応を検討する。
「担当職員を替えてほしい」という要望への対応とは
ここでいう担当職員の交代要望とは、保護者が特定の職員を外す、別の職員に担当を替える、送迎・活動・面談など特定の場面で接触を避けるよう求めることです。
要望の背景には、説明の受け止め方の違い、声かけへの不安、支援内容への疑問、実際の出来事に関する申し立てなど、異なる事情があります。理由を聞かないまま「人員配置上できません」と断ったり、「次回から替えます」とその場で約束したりすると、子どもの困りごとや事実確認が置き去りになるおそれがあります。
放課後等デイサービスのガイドラインは、こどもや家族からの苦情に適切に対応するための受付窓口や担当者、解決責任者、手順などの仕組みを整える必要性を示しています。放課後児童クラブにも、要望・苦情の受付窓口や対応手順を整える考え方が示されています。実際の窓口や役割分担は事業所・運営主体の規程を確認してください。こども家庭庁「放課後等デイサービスガイドライン」/厚生労働省「放課後児童クラブ運営指針・解説書」
初回に確認するのは「何があったか」「どうしてほしいか」
保護者が話している途中で反論や説明を重ねず、まずは申し出の内容を具体化します。担当交代だけを聞いて終わらせず、どの場面の何が心配なのか、子どもにどんな変化があったのか、希望する対応は何かを分けて確認しましょう。
- 出来事:いつ、どこで、誰との間に、何があったと聞いているか。
- 子どもの様子:帰宅後の発言、利用を嫌がる様子、活動中の変化など、保護者が確認した事実。
- 保護者の希望:担当変更、特定場面での同席回避、説明の機会など、求める対応。
- 急ぐ必要性:次回利用までに安全面の配慮が必要か、事実確認を待てるか。
「いつも嫌な思いをしている」など広い表現があった場合は、決めつけずに「特に心配になった場面を、覚えている範囲で教えていただけますか」と尋ねます。申し出の内容と希望を記録し、内容を保護者に確認することは、福祉サービスの苦情対応資料でも示されている基本的な進め方です。厚生労働省「苦情解決の窓口設置と体制」
その場で使える返答例
交代を約束する代わりに、申し出を受け止め、確認後の返答方法を伝えます。
「担当職員についてご心配をおかけしているのですね。どの場面で何があったのか、まず確認させてください。担当の変更については、私だけでお約束せず、管理者と共有して、確認した内容と今後の対応を改めてお伝えします。次回のご利用までに特に心配なことがあれば、そこも教えていただけますか。」
保護者が出来事を詳しく話せない場合は、無理に聞き出さず、「今お話しいただいた範囲で記録し、必要な確認をします」と伝えます。職員側に覚えがない場合も、その場で否定せず、「現時点では確認できていないため、関係する記録や職員の話を確認してからお返事します」とします。
苦情対応全体の初動や記録の型を確認したい場合は、「放デイ・学童の保護者苦情対応|初動と記録の型」も参考になります。
暫定対応と担当変更の判断を分ける
子どもに不安が見られる場合でも、恒久的な担当変更を現場職員がその場で決める必要はありません。一方、事実確認が終わるまで何も配慮しないという意味でもありません。管理者へすぐに共有し、子どもの安全や安心を守るための暫定対応が必要か検討します。
| 場面 | その場で進めること | 避けたい対応 |
|---|---|---|
| 具体的な危険の申し立て、子どもの強い恐怖など、急ぎの配慮が必要に見える | 管理者へ直ちに共有。子どもの安全を優先し、接触場面の調整など暫定策を組織で検討する | 「確認してから」とだけ伝えて、次回利用時の安全面を放置する |
| 説明や声かけへの不安、相性への懸念など、緊急性が明確でない | 具体的な場面と希望を記録し、関係職員・記録を確認して管理者が対応を検討する | 申し出を「相性の問題」と決めつけて聞き流す |
| 保護者が職員への処分や即時交代を求める | 申し出と希望を受け取り、事実確認後に組織として説明する範囲を管理者が判断する | 懲戒や人事上の措置、交代を現場職員が約束する |
暫定対応は、申し立てが事実だと認定したことを意味するものではありません。また、担当変更の可否や人員配置は事業所の体制、支援内容、子どもの状況によって異なります。保護者への説明内容は管理者とそろえ、職員個人の評価や人事情報など、説明できる範囲を超えることは伝えないようにします。
記録テンプレート:事実・希望・対応を混ぜない
記録は評価や推測ではなく、確認できた内容と今後の対応が追える形にします。以下をそのまま記録欄の項目として使えます。
- 受付日時・受付者・同席者:
- 保護者の申し出(可能なら発言に近い表現):
- 申し出の対象となる日時・場面・関係者:
- 保護者が把握している事実と、事業所で未確認の点:
- 子どもの様子として共有された内容:
- 保護者の希望(担当変更、説明、暫定配慮など):
- その場で伝えた内容・約束していないこと:
- 管理者への共有日時・確認担当・返答予定:
- 次回利用までの暫定対応と、実施する担当者:
たとえば「保護者が怒っていた」とだけ書くのではなく、「保護者より『活動中の声かけが強く、本人が怖がっていると話した』との申し出。担当変更を希望。具体的な日時は確認中」のように、相手の発言、確認状況、希望を分けて残します。
具体例:次回利用までに何をするか
保護者から「子どもが担当職員を怖がっているので、次回から別の人にしてほしい」と言われたとします。受付者は、まず子どもがどの場面を怖がっていると話したか、次回利用までに避けたい状況があるかを確認します。その後、申し出の内容と担当変更の希望を記録し、管理者へ共有します。
管理者は、関係職員への確認、支援記録や当日の状況の確認、子どもの様子の把握を行い、必要な暫定配慮と保護者への説明方法を決めます。返答では、確認できた事実とまだ確認中の点を区別し、今後の対応や次の連絡時期を伝えます。「担当を替えます」と結論だけを先に伝えず、子どもに必要な支援を保ちつつ、保護者の心配にどう対応するかを説明することが大切です。
申し出が子ども同士のトラブルをきっかけにしている場合は、相手の子に関する情報を保護者へ伝えられる範囲にも配慮が必要です。対応の整理には、「放デイ・学童の子ども同士のトラブル対応|仲裁・連絡・記録」も確認してください。
今日できる行動チェックリスト
- 自施設の苦情受付担当者・解決責任者・管理者への連絡方法を確認する。
- 担当交代の要望を受けたときの記録様式と、保護者への返答担当を確認する。
- 緊急性がある場合に、次回利用までの安全配慮を誰が判断するか確認する。
- 保護者へ返答する前に、申し出・希望・確認できた事実・未確認事項が分かれているか見直す。
よくある質問
保護者から担当職員を替えてほしいと言われたら、必ず交代させる必要がありますか?
一律に交代の可否を決めることはできません。要望の理由、子どもの安全や支援への影響、事業所の体制を確認し、管理者を含めて判断します。職員個人だけで即答せず、要望を受け付けたことと返答方法を伝えましょう。
保護者が職員の処分内容まで尋ねてきた場合は、どう返せばよいですか?
まず申し出の内容を確認し、必要な事実確認を行うことを伝えます。職員の人事上の情報や処分内容をどこまで説明できるかは、組織の規程や個別事情によるため、現場で約束せず管理者に引き継いでください。保護者には、申し出を受けて確認することと、子どもへの対応を説明できる範囲で伝えます。
保護者が納得せず、事業所内の話し合いで解決しない場合はどうしますか?
事業所内の苦情窓口や管理者に加え、事業所の規程に記載された自治体の担当窓口、第三者委員、都道府県社会福祉協議会の運営適正化委員会などが相談先となる場合があります。利用するサービスや地域によって窓口は異なるため、事業所の掲示・重要事項説明書と自治体の公式案内で確認してください。
まとめ
担当職員の交代を求められたときは、要望をその場で約束・拒否するのではなく、保護者が心配している場面、子どもへの影響、希望する対応を具体的に聞き取ります。申し出は事実と未確認事項を分けて記録し、管理者へ速やかに共有してください。
子どもの安全や安心に急ぎの配慮が必要なら、担当変更の最終判断とは分けて暫定対応を検討します。事業所の苦情対応手順や返答窓口を確認し、組織として一貫した説明につなげましょう。
次に確認すること:自施設の苦情受付窓口と、次回利用までの安全配慮を判断する担当者を確認してください。
参照した公式資料
※事業所の設置主体・自治体・個別の状況によって、適用される規程や相談窓口は異なります。実際の対応は管理者と確認し、必要に応じて自治体等の公式窓口に相談してください。
更新日:2026年11月5日
著者:しょぼい園長/先生のぐち編集部

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